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創世記の贖罪_本文見本

:同人誌創世記の贖罪
:サイト小説

闇の擬人化設定、異世界ファンタジーです。

少々えぐいので、閲覧については自己責任でお願いします。





(前略)


 ジンの家は代々、巡業の見せ物小屋をしていた。一ヵ月、一年。時間は色々だったけれど。有名な見せ物を持っていたジンの家は巡業をしていたとはいえ、裕福であった。
 ただ、目玉商品らしい一つのモノだけは、父親はジンに見せてはくれなかった。
 それは、ジンが一六歳になった時。
「もう、お前にも見せて大丈夫だろう……」
 そう言って、父親はジンを見せ物小屋の最奥に連れていった。ここだけは、父親の配下のひとりだけが出入りしている所。ジンは小さい頃忍び込もうとしてこっぴどく叱られたものだった。
 ここに入る客が、とんでもない額の金を払っているのをジンは知っていた。そうまでしてみたいものが、ここにある。
 ジンは、ドキドキしながら父親のあとをついて歩いた。
 いつもテントを張る一番奥に設えられるこの部屋。中は真っ赤な布で覆われていた。
 ジンが見たのは白い……皙い生き物。
 見せ物小屋にいるのは、どこからか手に入れた変わった動物ばかり。
 小瓶に入れられた妖精や、手足のある魚。首の異様に長い黄色い動物に、いつも馬車を引いてくれる像。普通の生活では見たこともないような動物がそれぞれの声で鳴いていて、みんな、哀しい歌を歌っているように、ジンには聞こえた。
 帰して……私達を元いた所に帰して……
 帰して……
 そう、言っているようで、ジンは哀しくなる。
 けれど、その皙い生き物は、何も言ってはいなかった。
「ほら、これが代々うちに伝わる至宝だよ。ジン………こいつのお蔭で俺達は食うにも困らずに生活ができるんだ」
 父親が自慢げにジンに見せたものはテントの一番奥。安っぽいけれど、豪奢な椅子に座っていた……人? だった。真紅のローブを着せられている。
 皙い……
 まるで……蝋のように皙い……肌の……
 彫りの深い、すらりとした鼻筋。切れ長の瞳。弓月の眉。眉にかかるか掛からないかの、ジン達と同じ黒い髪。椅子の肘掛けに置かれた指も、皙い。長い指に、黒い、長い爪が生えて、まるで鷹のそれのように鋭く曲がっている。髪は椅子からこぼれ落ち、床にとぐろを巻いていた。身長の二倍はあるだろうか。
 けれど、それだけだ。何も、変わらない。人間と何も変わらない。ただ、肌が皙い、だけ。瞼の中に黒目がなく、瞼の下はすべて紅く濁った眼球だった。
 どこを見ているのか、判らない。
「こいつはな、眠らないんだ。ひいじいさんの時にはすでにいたらしい」
「名前は? ……どうしてウチにいるの? あの妖精の方が珍しいよ?」
 ただの綺麗な人に見える。服の下がおかしいのだろうか。そう、ジンは思った。
「名前はないよ。どんな名前もなんだかしっくりこなくてつけられなかった。
 魔物の一種なのだろうけど。目も見えていないらしい。耳もあまり聞こえない、言葉も喋れない。こいつ独特の言葉を喋る訳でもない。ひいじいさんの昔からウチにいて、喋れる言葉は一つだけだ」
「なに?」
「ん? …………あとで、判る。今日はこいつの見せ物にお前も付き合え。俺はもう歳だ。そろそろお前に任せるから。手順を覚えるんだ。
 ただし、今日は見学だけだ。声を出すな。ガキがいると判ればしらけるからな」
「歳だって、何言ってるの。まだ三〇過ぎじゃない、父さん」
 平均寿命は五〇過ぎ。若いとは言えないけれど、ジンの父は十分闊達な年代だった。
「ぁあ……動物の調教ぐらいはいくつでもできるがな…………これは、若い方がいい。本当に体力勝負だ。
 あ、ジン。この町は『場』が丈夫ではないらしい。人がいない所を歩くなよ」
「あ? ……うん…………判ってるよ、父さん」
 向こうで母親が食事だと呼んでいる。ジンは何度も皙い人を振り返りながら、テントを出た。
 この時代。『大地』という言葉は存在しない。
 人々は自分達の住んでいる町の中だけで生活をする。誰も歩いたことのない所は、どこに繋がっているか、判らない。
 異空間に浮かんだ『場』。
 それが『町』というものの正体だった。
 場が丈夫ではない、というのは、あちこちが異空間と繋がりやすくなっている、ということ。
 躰の一部だけちぎれて飛んで行ったりはしないので『場』が違う、と気付けば、すぐに戻るだけで支障はない。けれど、そのまま歩いて行ったりすると、迷宮の中を迷うように彷徨い、別の町に出る。同じ所から同じ場所に出られる訳ではない。空間は絶えず動いていて、人間を呑み込んでいく。当然、不用意に迷い込めば、その中で死んでしまうことの方が多い。
 ジン達旅をする者は、大体が一ヵ月以上の食料を持ち歩いている。場の中で迷っても、とにかく真っ直ぐに歩いていればいつかはどこかに出るのだ。ほとんど勘だろう。その勘が鋭いものだけが『旅人』として町から町へと放浪することができる。
 『旅人』とは結局、その異空間を行き来できる特殊能力を持っているもの、ということになる。
 どこに行っても旅人は歓待される。特にジン達のように見せ物小屋を持っていると、町を挙げて大歓迎された。
 時折。町中にぽっかりと場が違っていたりすることがある。町の中なのに、誰かもが通らない場所などは『町』としての場が薄くなるのだ。大人はすぐに気付くけれど。時折、子供などが呑み込まれる。
 そして、反対に、子供が多いけれど。まったく知らない人間がいきなり町の中に沸いて出たりする。一年に一度ぐらい、誰かがいなくなり、誰かが入ってくる。もう当然のことになってしまっていて、家族や恋人以外は誰も悲しまないし、驚かない。その時の用心のために、どの町でもみんな、自分の全財産を宝飾品に変えて持ち歩いていた。そうしないと、万が一違う町に紛れ込んだ時に、すぐに手詰まりになってしまうからだ。
 ジン達が町を出る時は、全員の躰と馬車、動物を紐で結んでしまう。誰一人、何一つ、欠け落ちたりしないように。
 たまに、前に行ったことのある町に戻って楽しい時もある。
 不思議を不思議とも思わずに、ジン達人間は生きていた。
 世界は不思議に満ち満ちていた。
 それが……闇の因子、『世界』が欠けていたからだなどと、思いもせず。

 夜。
 父親の約束通り、ジンは一番奥のテントに入り、カーテンの影に身を潜ませていた。
 ぞろぞろと入ってくる男達。それはみんな町の有力者ばかりだった。つまりは金持ちということ。
 銀貨一枚で一ヵ月分のパンが買える。このテントに入るには金貨が三枚。それでも毎晩誰かが来る。同じ町ではすでに常連客が毎晩、大枚を叩いて入ってくるのだ。
 ジンはどきどきと待っていた。声なんか上げない、と言っているのに。父親はジンにきつく布巾で猿ぐつわをかけ、手も後ろでくくられたまま。どうしてここまでするのかと、ジンは不愉快だった。
「おお……」
 テントの奥から父親が椅子を持って出てきた。そこにはあの皙い人が座っている。
「おお……皙い……」
 真紅のビロードの天幕の中。蝋燭の灯かりで浮かび上がる皙い肌は神秘的で、その場にいた誰もの度肝を抜いた。前に見ていた筈のジンでさえ、薄く発光しているかのような彼に目を見開く。
 否、実際に、発光していた。蛍の光のようにふわり、と光っているのだ。
 まったく……まぶしくもない光で。
「これは我が小屋に昔から受け継がれてきた魔物です。耳もほとんど聞こえず、目も見えず、口もきけず。男か女かも判りません」
 定型の語りを入れながら、父親はゆっくりと彼に着せていたローブを取り去った。
 白く長い首。まだ少年というか、少女というか。これから延びるのだろう、と思える少し短い手足。それでも、そこにいる男達よりは余程足も長い。
 うっすらと、まっ平らではない、というだけの胸。細いけれど、括れてはいない腰。そのまま細い下半身。胸は少女の陰りを見せるけれど。下半身は少年のそれ。けれど、中心に男であることを証明するものはない。
「見えますか?」
 父親が彼の皙い右足を持ち上げた。椅子の上で、最奥を晒されて、皙い人が身を捩る。何か苦し気に眉を寄せた。男達がくいいるようにその奥の陰りを見つめる。そこに女性のそれはない。
「面白いなぁ……男か女か?」
「さぁ……触ってごらんになりますか?」
「えっ? いいのか?」
「これの不思議は、ご自分の手で触れてみないことには…………判りませんよ……どうぞ。噛みついたりは致しません。大変おとなしい魔物です」
 客の中の誰かが名指しされて立ち上がる。恐る恐る、その皙い肌に指を延ばした。緊張に脂汗をかいている。
「おぉ……すべすべしとる…………お?」
 汗の滲む掌で触れた……時。男は自分の掌に異様な感触を抱いた。
「なんだこれは? こんな所に火傷? なかったぞ?」
 男の掌の下から、明らかに火傷のような引きつれが現れる。けれど、それを不思議に思う間もなく、それは客の見ている前でするり、と治ってしまった。元の皙い肌が何事もなかったかのように息づいている。
「人の……体液で…………爛れるようでございます。これ、このように……」
 そう言いながら、父親はその皙い指先を口に含んだ。客に見えるように唾液をからませた舌を這わせる。皙い肌が跳ねた。父親の舌の先。火鉢でも押しつけられたかのようにざらり、と皙い肌が泡立ち、ブツブツ、と表皮が爛れ落ちた。皮膚の下の肉色が現れる。どろり、とその皙い肌に血がしたたった。
「ぁ……ぅっ…」
 皙い顔が苦渋に歪む。口が聞けない、と言っていたけれど。声は出るようだった。それはほんの一瞬。またもや、するり、とその火傷のような爛れは治ってしまう。おおーっ、と見ていた男達の口から声が上がった。
 ジンは悲鳴を上げそうになってやっと、父親が自分に猿ぐつわをかけていった意味が判った。手足を拘束していった意味が判った。
 今、駆けだしていって、その皙い人を連れて逃げだしたい。そう、思っている自分に気付く。
 父親が指先を切って血を溢れさせた。それを皙い魔物の胸から腹にまき散らす。皙い肌がビクビクッ、と跳ね上がった。血が落ちた肌はボコッ、と穴が開き、その周囲がじゅくじゅくと焼けただれる。それでも、それはするり、と内側から肉が盛り上がって、すぐに治ってしまった。皙い肌は、その激痛に、なのだろう。ビクンビクンッ、と、痙攣を起こしている。
「ごらんになっていて下さい」
 父親は、自分の衣服を脱いだ。その中心に猛々しくあるものを指し示す。皙い人を床に抑え付け、その長い足を、頭のあたりの床に押しつけた。折り曲げられ、さらされたその躰の中心に己を串刺す。
「ァッ……ガッ…………」
 ドロリ、と。接合点から血が溢れた。それは父親が動くたびにしぶき、その皙い肌を紅に染める。
「イきますよ、良く見て居て下さい」
 父親がそう言って男根を引き抜いた。その瞬間。その先端から白濁が皙い躰に迸り……
「ギャアアアアアァァァァァァッッッ!」
 白濁が付いた肌がボコン、と沈んだ。じゅくじゅくじゅく、と。その周囲が焼けただれ、血を溢れさせて溶けていく。腹は内臓が蠢いている様を見せ、胸は肋骨が白く覗いた。
「ひぐっ……うっ……キモチ……イイ……」
 ビクンビクンッ、と皙い躰が跳ねる。それでも、そのくちびるからはその言葉が洩れる。
「キモチ……イイ………ぐっ……ぁ…………」
 気持ちいい筈などあり得ないのに。その顔は苦渋に塗れているのに。
 ジンは、判った。
 父親が言っていた、この皙い人がたった一つ喋れる言葉。
 誰かが、教え込んだのだろう。苦痛を感じた時にそう言うように。
 明らかに、客の顔色が違う。
 悲鳴を上げても、客は喜ぶだろうけれど。『気持ちイい』と言われれば、自分のしていることの罪悪感は無くなるのだ。
「体液の中でも、精液が、一番、傷の治りが遅いようです」
 ボコンボコン、と。肉が傷をなおそうとしているのだ。その先で、精液が白くたゆたっていて、どんどんと回りの肉を溶かしていく。父親が皙い人の躰を抱き上げた。背中を見せる。しばらくするとそこがじゅくじゅくと泡立ち始め……ボコッ、と穴が開いた。どろり、と。真っ赤な血と、精液がしたたる。そうして初めて、その躰の傷は急速に治って行った。
 全部の傷が治ると、少しだけ、皙い人は天を仰いで息を吐く。
 その喉が白くて……ぞくり、とした。
「金貨一枚で、この魔物を抱いてみませんか? 締まり具合も、よろしいですよ?」
 父親が、言った。その場にいた全員が財布を取り出す。
「キモチ……イイ……」
 貫かれて。血をしたたらせて。躰を穴だらけにして……それでも、その皙い人は、言った。悲鳴のように言った。ぼろぼろと、青ざめた顔で涙を流して。舌をかみ切りそうな程、歯を食いしばって。
 苦しんでいるのに。
 悲鳴を上げているのに。
 たしかに、その皙い人は、美しかった。
 けれど、それは…………
 それはしてはいけないことだろうっ! 
 ジンは猿ぐつわの下で叫んだ。
 苦しんでるの判るじゃないっ! 
 痛いに決まってるじゃないっ! 
 あんなに肉が溶けて……骨が見えるぐらいなんて、どれだけ痛いか想像もつかないのに。
 自分がされたら、死にたいって思うぐらいの激痛の筈なのに。
 どうしてできるの?
 どうして、この人にならできるの?
 お金を払ってまで。そんなに、笑いながら。
 非道いよ。
 みんなひどいっ! 
 ジンはただ、涙する。
 ガチャンガチャン、と。入り口から見世の男が剣を持ってきた。短剣、長剣。斧。棘の生えた、先がいくつにも別れた鞭。
 そんなもので何を……
 判っているのに。放心状態のジンはまさかそこまでは、と思った。
 その、目の前で、皙い人は両手を枷に繋がれ、宙に吊り上げられた。ガラガラガラ、と忌まわしい滑車の音が響きわたる。父親が長剣を持ち、振りかぶった。
 ザシュッ……! 
 それは狙い違わず、その皙い人の左肩から右脇腹まで引き裂いて……
「ギャァアアアアッッッ!」
 ゴボッ、と血を吐いて皙い人が叫んだ。ガチャガチャガチャ、と鎖を鳴らして激痛に暴れる。一瞬、見物客も口をぽかんと開けていたけれど。
 ボロボロッ、と。紅い瞳から涙を溢れさせた。
 それでも、その皙い人は言った。
 その紅いくちびるで……言った。
「キモチ……イイ……」
 と。
 客の顔に昏い光が灯る。
 ボコボコッ、と肉が盛り上がって傷が治っていく様を見て、客の顔が狂気を含んだものに変わった。それを見て、父親が剣を彼らの前に置いて、告げる。
「金貨二枚で、お貸ししますよ」
 それが……合図…………だった。
 客達はそれぞれに刃物を手にしてその皙い人を引き裂いた。
 血飛沫きが、ジンの視界を真っ赤に染める。
 ジンの涙と、客の高笑いは、同時、だった。
 皙い肌は切り刻まれた。
 キモチイイ。
 その、言葉と共に。




(後略)




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