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危険な系譜番外編理想の世界3 番外

サイト小説?

緒方臣斗君の一人称。
本にしてたと思ってたんですが
ページ数が足りなくて削除してました。

危険な系譜番外編理想の世界3』のネタバレですので
本文未読の方はご注意ください。















「臣斗、景斗、昌斗、霧斗、額斗、星斗、耶麻斗。トシキのおじちゃんだよー」
「正雄っ……おじちゃんはよせ……」
 父、マサオから紹介された、俊樹さん。
「君がオミト君だね。目がマサオそっくりだ。菱形俊樹です。よろしくね」
 かわいいね、と頭を撫でられた。
 凄く綺麗で、綺麗で、綺麗で。
 思春期は、俊樹さんへの罪悪感で過ごした。
 毎日夢精で彼を犯していた。
 一生懸命女の子と付き合って、躰は冷ましているはずなのに、夜はいつでも、心が俊樹さんのところに飛んで行ってしまう。
 あんな綺麗な人にこんな劣情を向けてはいけない。
 苦しい高校時代。
 どうしても同じ彼女と長続きしない。
 女の子を大事だと思えない。
 見て、しまったから。
 昔、僕の家族と俊樹さんの家族、全員でタヒチに行った。
 母さんたちは日に焼けるのを嫌がって、あまり外に出なかった。僕たちはもちろん、真っ黒に日焼けするまで外でゴロゴロバシャバシャ。俊樹さんと父さんが水際で泳ぎを教えてくれた。
 ヴィラがある本島の周りに小さな島がいくつかあって。全部が一つの珊瑚礁の中にあってずっと遠浅。鮫とかの心配も無しだから、けっこう遠くまで泳いでいた。直樹は小さいのに、僕や景斗より運動神経がいいから、本島を一周した、と言ってみんなを驚かせた。
 昼間は父さんも俊樹さんも僕たちや母さんに付き合って、砂浜の近くにいるけれど、食事が終わったら遠泳に行く。向こうの島を回って帰ってくるらしい。僕たちは当然、夜は外出禁止。
 昼食の後、大人はみんなヴィラの中で昼寝するから、僕たちは水際で遊ぶ。僕もヴィラの中で本を読んでいることが多かったけど、その時、何か景斗が変だったんだ。
 三男の景斗が五歳。その下の弟たちは母さんと一緒に寝ていた。
 僕も昼寝するつもりだったのに、景斗が何か言いたそうだったからヴィラから出た。波打ち際でも大岩のおかげで影になるところがあるから、そこに二人で行くと、昌斗もついてきた。
「夜さ、父さんと俊樹さんがあの島まで泳ぎに行ってんだよ。俺たちも夜、行かないか?」
 景斗は少し顎を引き、上目づかいに僕を見た。
 これは、何か企んでいるときの顔だ。
「夜は危ないよ。昼間でもあんな所まで行ったことが無いのに」
「だから、今から下見に行くんだよ。ホントは一人でも行きたいんだけど、やっぱり心配だから、兄さんたちと行きたいんだ」
 景斗は目茶苦茶なことをすることが多いけれど、それは『危ない』系の無茶ではなかった。珍妙な意味での無茶苦茶であり、一人で遠くに行ってしまうことも無いので、父さんたちも安心して景斗を放置している。もちろん、僕も昌斗も無茶をしないから、母さんたちは下の弟たちだけ見ていれば良くて助かっているらしい。
 今も、あの島に行きたいと思っても、景斗は一人では行かない。
 ここで僕が行かない、と言えば、景斗は行かないだろう。
「父さんたち、あの島に行って、一時間近く帰って来ないんだぜ? それに昨日、船頭の人があの島に荷物持って行ってたんだよ。きっとあそこにも家があるんだって。見たくない?」
「えーっ、家があるの? それは見たいっ!」
 景斗の提案に、昌斗は単純に同意していた。けれど……、景斗のそれは真意ではない気がする。
 ただ、そう言われると気にはなる。
「あの島をぐるっと回って泳いでも一時間ぐらいにはなりそうだけれどね」
「行く? 行かない?」
 もう一度確認されて、行く、と言ってしまった。
 子供三人であそこまで泳げるかな。
 景斗は透明な浮輪と、白いバスタオルと、水の入った水筒も三つずつ持って来た。浮輪に入って、直射日光が当たらないように頭から体にバスタオルを掛けて泳ぎだす。
 先に波に入った景斗は、バスタオルの白さが波に紛れて視認しにくい。こういうことも考えて白いバスタオルを持ってきたのかと少し驚く。
 島までの道のりの半分ぐらいは足がついた。少し泳ぐと、島側で足がついた。大人が歩いたら、ずっと足がつきそう。腕時計を見ると、島まで二〇分も掛かってない。
「俺たちで二〇分掛からないってことは、父さんと俊樹さんが泳いだら、二〇分掛からずに往復できそうだね」
 砂浜の上の方に浮輪とバスタオルを投げて、景斗は島に駆け上がった。案の定、四阿がある。
 ビニールマットが床に置かれていた。籠に果物があって、タオルがいくつか掛けてある。
「駄目だよっ昌斗兄さんっ! 食べちゃ駄目っ!」
 昌斗がその果物を食べようとしたのを景斗が止めた。
「俺たちがここに来たことを知られちゃ行けないんだから。食べちゃ駄目っ! 喉が渇いたなら水飲んでよ」
「ミカンが一個無くなったぐらい、わからないって」
「父さんと俊樹さんならわかるよ」
 僕と景斗の声がハモった。
 昌斗はただ謝って水筒に口をつけていたけれど、景斗はすぐに帰ろうと言い出した。
「夜泳ぐのなんて疲れるから、さっさと帰って昼寝しよう。夜は三人で宿題してることにしよう。夕飯前から宿題して、そのまま夕飯後も宿題してる振りしよう」
 景斗の言う通り、夕飯後までそうして過ごした。
 下の弟たちはとっくに寝てしまった。僕と昌斗、景斗が同じ部屋。下の弟たちも彼らだけで同じ部屋だ。僕たちが宿題をしていると、景斗が腕枕をして顔を伏せた。
「景斗、寝ちゃったよ。本当に今日行くのかな」
 昌斗が景斗を鉛筆でつつきながら笑う。それ、起きてるよ、景斗。狸寝入り。そう、僕が思ったとき、足音がした。
「まだ起きているのか?」
 父さんが入ってきた。隣の、弟たちの部屋のドアも開いた気配。「寝たのか?」とうかがっている声は俊樹さんのだ。直樹もそこにいるから、そっちに俊樹さんが行ったのは、自然といえば自然。
「んー……あー……とうさーん……」
 景斗が顔を上げて大きなあくびをした。
「もう寝たらどうだ。そんな頭で勉強をしても身につかないぞ」
 父さんが景斗をベッドにつれて行った。僕と昌斗も宿題を直してベッドに入る。
「じゃ、電気消すぞ? おやすみ」
 父さんが電気を消して出て行った。
 これから泳ぎに行くのかな。
 昨日も一昨日も、この時間にオヤスミを言いに来たよね。
「前から思ってたんだけどさ、旅行に来たときの『オヤスミ』ってしつこいと思わない?」
 景斗が、まったく眠く無さそうな顔でベッドを下りる。
「たしかに俺たちが寝てからが大人の時間だから、わからなくもないんだけど」
 今度は黒いバスタオルを僕たちに投げてよこす景斗。
 景斗はこのバスタオルを荷物に詰めていた。モダンが好きだから、家でも黒と白のバスタオルは使っているけれど。そんなものは母さんたちがつめているのに、景斗は自分でこれを持ってきた。
「お前、いつから今日のこと考えていたの?」
「去年、ここに来たとき」
 景斗の答えに、昌斗があんぐりと口を開けていた。
「別に、このヴィラだけじゃなくてさ。スキーに行ったときも、ヨーロッパ行ったときも。とにかく父さんと俊樹さん、夜中に出て行くだろ? 城は抜け出せないし、雪の中も無理。となると、このヴィラだけなんだよ。子供が追い駆けられるのは。行くよ」
 ここで、僕が行かない、と言えば、慎重な景斗は行かなかっただろう。
 でも、僕も知りたかった。
 大人の、時間。
 なぜ、見てしまったのだろう。
「あっ……正雄っ……正雄っ!」
「俊樹っ……俊樹っ……愛してる……」
 あの島で、波の合間に聞こえる声。ビニールマットがキュキュキュリッときしむ音。
「ナニ? 何かしゃべってるのかな、声が……むぐっ!」
 ひそひそ話そうとした昌斗の口をふさいだら、景斗もふさいでいた。景斗が僕をにらみつける。そのまま、同時にうなずいて、昌斗をつれて島を出た。
 文句を言いたそうな昌斗をベッドに押し込んで、景斗も僕も、無言で寝た。
 僕は一番背が高かったから、茂みの間から見えてしまった。
 父さんが、俊樹さんを抱いているのを、見て、しまった……
 俊樹さんの手が、父さんの背中を、腰を、頭を撫で回して、抱きしめて、蠢いて……
「ここは君の部屋みたいに防音じゃないよ、トシキ……」
「あぁっ……あんっんんんっ……でもっ……声が……お前が塞いでっぇっ……むっ……むうっぅぅぅっ……」
 ナニをしているのか、その時はわからなかった。
 見てはいけない、とだけ、思った。
 数年後、女の子と初めてエッチしたときに、気付いた。
 月夜の波間の艶姿が、昨日のように思い出される。
 なんて甘い声。
 なんて淫らな姿。
 あの、俊樹さんが?
 その時初めて、気付いた。
 俊樹さんも、人間なんだ。
 僕はいつのまにか、俊樹さんを偶像崇拝していた。
 それこそ、昭和初期の銀幕の女優たちのように。ただ、綺麗な部分だけでできているのだと、思っていた。
 父も俊樹さんも、偉大すぎて、手が届かないものだと、思っていた。
 僕と同じ人間だと、思えなかった。
 人間だ。
 父さんも俊樹さんも、人間だ。
 人間だ。
 しかも、同性愛者だったんだ。
 僕が俊樹さんを好きなの、父さんの血、なんだ?
 僕がおかしかったんじゃ、なかったんだ?
 憧れていた二人がセックスしていた。
 ショックだったけれど、安堵する。
 僕は、まさしく父さんの血を引いている。その、安心感。
 父に勧められるまま、見合いして結婚した。子供も作った。
 父や、俊樹さんと同じように。
 あの俊樹さんが、真紀子さんと父、二人をまたに掛けているなんて信じられない。父さんはそれで平気なんだろうか。彼女は父のことを知っているのだろうか?
 今でも、俊樹さんで夢精している。
 俊樹さんを抱きたい。
 その思いが耐えきれなくなって来だした頃、父が、死んだ。
 俊樹さんは発狂した。
 一週間で戻っては来てくれたけれど、性欲が晴らせなくてうつうつしているのが凄くよく分かる。今なら声をかけたら僕としてくれそう。
 けれど、厭だ。
 父さんの替わりなんて、厭だ。
 だから、電話番号を、渡した。
 政財界が使っている秘密クラブ。ここで適当に相手を見繕って、父さんのことを忘れて下さい。
 一年、悩んでいたみたいだけど、ようやく行ってくれた。
 俊樹さん、馬鹿になった?
 凄く若返って、綺麗になった。
 阿騎野下武と付き合って、どんどん俊樹さんは綺麗になっていく。政策も鋭くなっていく。勢いが強くなって来て、なんの反論も許さない迫力を身につけた。
 ああ、そう。愛されないと駄目な人、って、いるよね。
 人から愛されて、性欲を満たされて、基本的欲求をまず制覇して、ようやく前にすすめるんだ? 面白いエネルギーの充填方法ですね。あなたみたいな美人だったら、すぐに解決できる方法だ。
 そろそろ、俊樹さんが父さんを忘れてくれたみたい。武君にも退場してもらおう。
 もともと、君を指名したのが、僕が握っている弱みで君を引かせることができるから。あまりに若すぎて駄目かと思ったけれど、俊樹さんは彼に入れ揚げた。
 父さんを見るのと同じ目で武君を見る俊樹さん。
 その目で、僕を見てください。
 僕だけを、見てください。
「君を……愛しても、いいの?」
 俊樹さんが僕を見てくれた。俊樹さんが僕の恋人になってくれた。
 弟たちまで入ってきたのは予想外だったけれど、まぁ、いい。
 二人とも僕と同じように苦しんだのだから。俊樹さんが良いなら、いい。僕だって、毎日俊樹さんとできるわけではないからね。俊樹さんが寂しくないように弟たちと手分けして俊樹さんを抱く。
 セックス依存症だとようやく気付いた俊樹さん。でも、誤魔化して、あげる。
 自分が悪いと思うと進めない人だから。
 こんなところでとまってもらっては困るから。
 俊樹さんを抱きたいのも事実だけれど。
 俊樹さんが世界一になるのを見たいのも、事実。
 世界一になるのを支えているのが僕、だという、そのことに感じる。
 どんどん綺麗になっていく。どんどん輝いていく。
 最年少首相に、なった。外見は三〇代。
 凄く……凄く綺麗な僕の天使。
 愛しています。
 世界で、ただ一人、あなただけ。
 俊樹さん。
 愛しています。







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