【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。200 ~黒い涙が湖に~

 

 

 

 

 ル・ア君が死んだ。

 キラ・シの全員が、泣いていた。

 煌都(こうと)は黒い涙が湖になった、と語り部たちが歌っていた。

 ル・アくんはもう政務をしていなかったから、何も、変わらない。

 ル・アくんの子を妊娠してた貴族の女の子たちが、どうしたらいいのか相談には来たけど、産んだら引き取るから、とだけ答えた。街でもそう。私が出歩くと、必ずその質問を聞いた。

 そして、リョウさんとガリさんが同時に城を空けた。叛乱が各地で起こって、手が足りなくなったから。

 順番的には、次はサル・シュくんの出陣だったけど、彼が王宮に残った。

 サル・シュくんは羅季(らき)語がまったくわからないから、首謀者をつかまえられない。ガリさんとリョウさんがいないから、城を守るために残ったので、凄い荒れてる。うるさい!

 このあと、こういうことが頻発した。

 ショウ・キさんはもう、分隊を率いて出陣するだけの体力がなくなっていたの。王都に残っているキラ・シの面倒は見てくれているし、サル・シュくんをなだめてくれるのも随分、手を割いてくれた。

 それでも、まだ、ショウ・キさんはキラ・シ五位。馬で長時間駆け回る体力がなくなっただけで、まだ、彼は強い。

 まだ、強い。

 それでも、たまに馬が帰って来なくなったのは、凄くショックみたい。大陸の人たちみたいに、厩舎で管理していれば、気付かない問題なのに。

 こんなことで『強さ』の限界を知ってしまうのね。

 動物は、敏感だから。

 キラ・シ内での、ショウ・キさんの『強さの順位』変わっていないのに。

 ショウ・キさん自体も、目茶苦茶強いから、下から突き上げをくらって、地位を譲ったわけでも無いのに。

 ショウ・キさんを乗せている馬も強いから、強いショウ・キさんの強さがなくなったことで、ショウ・キさんを受け入れなくなった。

 キラ・シは動物の扱いが凄いと思ったけど、こういうことなんだ?

 本当に、野生動物と同じなんだ。

『強さ』だけで着いてきてたんだ?

 ショウ・キさんの前で、ショウ・キさんの馬が逃げようとしたとき、サル・シュくんがその馬を蹴っ飛ばした。そして、その馬が首を垂れるまでにらみ合った。

 そのあと、その馬はショウ・キさんを乗せてくれるようになったけど、つまりは、『サル・シュくんの馬』になったんだって。『サル・シュくんが命令したから、ショウ・キさんを乗せている』という状態らしい。だから、サル・シュくんがいないと、ショウ・キさんを乗せることをいやがる。それもあって、サル・シュくんはお城に残ることが多かったんだ。

 実は、ショウ・キさんだけじゃなくて、他のキラ・シの戦士たちも似たような状態らしい。ガリさんたちと同世代の戦士たちは、今、すでに最強の時期を終えたから、馬が言うことをきかなくなってたって。それを、サル・シュくんが言うことを聞かせてるらしい。

 ガリさんでもなく、リョウさんでもなく、サル・シュくんが。

「サル・シュが弱くなったとしても、動物はサル・シュを怖がる」

 レイ・カ山河言ってたな。理屈はわからないけど、そういうものらしい。だから、サル・シュくんがお城をあけると、お城のキラ・シの馬は一斉に逃げる可能性があるってこと。

 ただ、キラ・シの馬も年を取った。すでに四世代目に入ってる馬もいる。そういうのは、厩舎で管理するようにした。お城の羅季人が世話をしてくれるから、そこらへんは大丈夫だったけど、もっと早くしておけば、『馬が戦士を拒否する』ことは気付かせずに寸断じゃないかと思う。

「あの狭いトコに入れられた時点で、馬は嫌がってるから、どのみち無理だ」

 サル・シュくんは、厩舎を眺めて、イヤそうに眉を寄せてた。

「でも、ああしておけば、年取った馬も、生きて行けるよ? 人間が餌を上げるから」

「そうなるまえに死んだらいい」

 あっさり言ってくれる。

「せっかく、ヒトより早く走れる足があるのに、あんなところに閉じ込められて」

 そういう考え方もあるのか……と思ったけど、サル・シュくんの目は、厩舎じゃなく、城壁を見上げてた。

 ああそうか。

 走り回りたいのに、お城に閉じ込められてる自分のことを言ってるんだ?

 それでも、出て行こうとは、しないのね。

 ガリさんに、ここにいろ、って言われたから。

 サル・シュくんが、背中のショールを腕に巻いて手を上げた。そこに鷹が降りてくる。足に結ばれてた砂金の革袋を外して私に投げた。私がそれを、スカートの布に出して、革袋を返すと、また鷹の足に結びつける。

 胸に持っていた干し肉を上げると、それをついばんで城壁の上に飛んで行った。

 今だに続いている、鷹の、キラ・シの山との連絡網。

 鷹も、すでに何世代目か。奥さんと子供を山で作って、一緒に連れてくるから、数が増えた。たまにサル・シュくんが、鳩にたかられるみたいに、鷹にたかられてて、キラ・シに笑われてる。鷹に、不意に体にとまられると、さすがのサル・シュくんの肌でも穴があくから、悲鳴に悲鳴を上げてた。すかさず鷹を殴り倒すのがさすがというか、鷹も向かってきて、『鳥と喧嘩してる』という、面白いことになる。最後は、サル・シュくんが鷹を上から地面に押さえつけて終了。

 やっぱり『友達』じゃないんだよね。『支配』してるんだ。

 馬と一緒。

 上位陣が弱くなったら、きっと、鷹も帰って来なくなる。

 キラ・シの砂金もそこでつきる。

 一気に財政難になる。

 昔、思ったよね。

 キラ・シって『強すぎる』って。

 こんなチート部族、ずるい、って。

 でもその『強さ』は、今、『強さを失う』という恐怖と共に跳ね返ってきてる。

 サル・シュくんの『白い』のもそうだった。

 肉体的に弱いから、子供の頃から『すぐに死ぬ』と言われて育って、反発して強くなったんだ。

 その分、寿命が短くて、怖い。

 ガリさんもサル・シュくんもまだ元気そうに見えるけど、シル・アさんがこのまえ亡くなった。彼も、ガリさんの血を強く引いたのか、白かったの。長男のグア・アさんは、真っ黒なんだけど、次男の彼と、ル・マちゃんは白かった。ル・マちゃんはサル・シュくんよりマシだったけど、シル・アさんはサル・シュくんより白かったのね。

 出陣先で、黒い血を吐いて、突然倒れたって。立ち上がれなかったから、その場でとどめを刺して埋めてきたって。

 ちょうど、30才だった。

 サル・シュくんが今、31才。

『30才まで生きない』と言われた中では、長生きらしい。

 それは、ガリさんも。

 もう、『いつ死んでもおかしくない』状態みたい。

 怖い。

 あんなに強かったガリさんが、病気で、死ぬ?

 キラ・シの戦士全員が『戦場で死なせてあげたい』と思ってる。

『強いヒトに殺されてほしい』と思ってる。

 でも、『ガリさんより強い敵』なんて、いないのよ。

 大陸最強の部族であるキラ・シ。今でも最強を誇る族長であるガリさん。

 多分、サル・シュくんが、ガリさんより今は強いと思うけど……

 サル・シュくんは、今年の『勝ち上がり』でも、三位をキープした。

 わざと、ガリさんにもリョウさんにも、負けた。

 彼は、族長になる気はないから。

『キラ・シの将来』なんて、背負う気は、無いから。

 ガリさんの引導を渡す気も、無い、から。

 キラ・シさえ抜けて、どこかに駆けていきそうなぐらいなのに。

 鷹は、城壁の上で肉を食べきったのか、青い空に飛び立って行った。

 サル・シュくんの白い首が、それを追い駆けてあっちのほうに向く。

「サル・シュくんも飛んで行きたい?」

「飛べない」

「…………翼があったら、あんなふうに飛んで行きたい?」

「翼なんてない」

 そうだった。キラ・シにはif論が通じないんだ。

「馬でこのお城を駆け出たい?」

 鷹を見上げてたサル・シュくんの目が、地面におちて、私を見て、城門の方を、見た。

 相変わらず、ツヤツヤの黒髪。腰をすぎて延びたから、こないだ背中まで切ったの。ばっさり。髪は、私が箱に入れて、隠してる。彼は捨てようとしたから。

「ハルは、ココじゃないと、生きてけないだろ」

 向こうを向いたまま言われた。

 私が、キラ・シぐらい強かったら、連れて出て行ったの?

 キラ・シを捨てて?

『前』みたいに?

 私も30才を過ぎたから、10年前みたいな無理はたしかに、無理よね。どこかの村に出て行くぐらいなら、できると、思う、けど。

 それじゃあ、『面白い生活』にはならないものね。

 彼は、のんびりくらしたいわけじゃあ、ない。

 いつもスリルを求めて、戦うコドモ。

 晴耕雨読なんてできない。

 二人で、『逃げ続ける』ことは『彼にとって』楽しいけど、その生活では私が生きていけない。キラ・シから逃げたら、やっぱり紅隆(コウリュウ)みたいな所にいかざるをえなくなって、『食い殺される』のがオチだ。

『その時』のことを、サル・シュくんは知らないはずなのに、『わかって』るんだ。

 私以外の人たちにも『前』の『健在記憶』はなくても、そういう『潜在記憶』みたいなのは、あるのかな?

 つまりは、私と、どこかに二人だけで駆けだしても、『今より面白いこと』にはならないから、行かないのよね。

『今』のこの、現状が、『一番』『マシ』なんだよね。

『マシ』だからじっとしてる、って、つらいよね。

 山から羅季に降りてきたときは『したいことがたくさん』あって、次から次に問題が出てきて、毎日が楽しかったのにね。

 サル・シュくんは、厩舎の馬と一緒にいることが多くなった。

  

 

  

 

  

 

 そのうち、サル・シュくんも出陣せざるをえなくなった。

 ル・アくんが居たときは起こらなかった叛乱が、やたら、おこる。

 もちろん、政治が悪いせいもある。

 一日に何百も入ってくる書状を読むだけでも大変。

 リョウさんでも、読むのはできても書くことはできない。書くのは書記に任せるとしても、戦と、直接のお城のことしかわからない。

 辛巳(しんし)さんが流行り病で亡くなって、いっきに物資の調達が面倒になった。

 彼一人に任せていたから、今から入札の方法とか、前に使っていた商人とのやりとりを復活させることになって、手間が激増した。納品されたものが粗悪品だったり、すぐに壊れたり、湯水のように『キラ・シの金』が消えていく。鷹が持ってきてくれる金だけでは足りなくなってきた。

 流行り病で子供たちがバタバタ死んだ。キラ・シの戦士も二人死んだ。

 サギさんが、物資の調達のために王宮を出た先で、病で亡くなったって報告を受けた直後に、ゼルブがキラ・シからいなくなった。

 400人全員が、ぽつりぽつりと『病死』でいなくなった。彼らの子供も。

 リョウさんは日々の政務と叛乱鎮圧と鍛練で、全然気づいてないみたい。

 これ……あれだ。

 夕羅(せきら)くんが引き抜いたんだ?

 辛巳さんも?

 ル・アくんは、無事だったのね! まぁ、それは良かったわ。でも、その分こっちがこんな大変になるなんて……

 サギさんも……生きてるのよね? それは安心だけど、ゼルブがいなくなると『文書』での通達が一気にできなくなって、ほぼ流通が、止まった。

 リョウさんも具合が悪いのか、ずっとふさぎ込んでる。ガリさんは叛乱鎮圧で殆ど王宮にいない。

 サル・シュくんは出陣してるのに、どんどんイライラが募ってきた。

 毎回、小さな怪我をしてくるようになったの。どれもこれもかすり傷だけど、前はほぼ無傷で帰還してた。

 もちろん、本当の無傷ではなかった。馬で走るだけでも、馬が巻き上げた石や砂で小さな傷はできるから。それらは本当に皮膚の上だけをかすったような傷。『現代』の私なら、軽く絆創膏貼るかな? って感じ。

 最近のはそれの上に、刀傷とか矢傷が増えたの。皮の下まで通った傷。確実に消毒して絆創膏貼るような傷。

 これぐらい『この時代の人達』は大体放置だから、キラ・シではかすり傷にも数えられてはいないけれど、でも、『傷が増えた』ことは、変わりない。

「サル・シュくん、目を、怪我してない?」

 左目だけ、異様にまばたきが早い。昨日も、一昨日もそうだった。

「……そう、かな? ……凄くかゆいことが多い」

「かゆいの? なんでかかないの?」

「虫に刺されたときも、掻いたらそこがぐちゃぐちゃになる。特に目だから、掻かないようにしてる」

 凄い分別があった!

「それが正しいのよ! 凄いわね! かかなかったのエライ!」

「俺エライっ! やったーッ!」

 子供みたいに喜んでくれた。この笑顔は前のまま。

「このかゆいの、無くならないのかな? 砂が入ったとかじゃ、こんな続かないよね?」

 口調が子供みたいになってる。かわいい。

 ゴミが入ったんだろうけど、でも、普通のゴミだと、さすがにもう流れてるよね?

「顔の前で刀をぶつけたとかなかった? こう……刀で敵の剣を受けたとか。顔の周りで剣が折れたとか」

「あった」

 やっぱり……

「その時に、剣の小さいので目を怪我したんじゃないかと思うの。その小さいのが、まだ目にあるのかもしれない」

「取れないの?」

「……うん…………これだけ長いこと、出ないなら、もう、出ないのかな……」

 現代の医療技術なら取り出せるだろうけど、ピンセットも無いし、あってもそんな手術をできる人がいない。

 地面に眼球の絵を描いた。

「今はこの目玉の外側に剣の小さいのがくっついてるのね。目を掻いたら、これがぐっと目玉の中に入っちゃうの。それで目が見えなくなるかもしれない。だから、そっとしておいてね」

「かゆい……」

「うん……でも、触っちゃ駄目。今までも掻かなかったでしょ? 悪くなると思ったからだよね? そのまま、掻かないで」

「掻いたらハルが見えなくなるかも……と思って、掻かなかったの」

「うん。エライよ、サル・シュくん。そのままでいて」

 頭を撫でてあげると、ピカーッと笑う。子供みたいに抱きついてくる。キャッキャッ笑ってくれる。

 でも、翌日にはもうイライラしてるの。

 目がかゆいってツライよね。

 速いまばたきで、右目だけ泣いてることもよくあるようになった。

「どうしたのサル・シュくん? 何を困ってるの?」

「王宮のヘイシが弱い」

「ああ、そうね。大陸の人だから」

「アレを俺にどうにかしろって言われた」

「どうにかしろ、じゃなくて、調練して、って言われたんでしょ?」

「殺していい?」

「駄目」

 サル・シュくんの『捨て子理論』は変わらない。

『弱い戦士に生きる必要性はない』。キラ・シの、『捨て子理論』。

「なんで? あれ、役に立たないぜ?」

「それでも、『数』が必要なことがあるのよ」

「どういうのだよっ! なんで弱い奴を俺が率いなきゃいけないんだっ! キラ・シの五歳児より弱いんだぞあいつらっ!」

「火事になったときに水を掛けるとか、女の人達を逃がすとかっ、城壁の上を監視するとか、王宮の門の前に立つとか、部屋の前に立つとか、武器を運ぶとか、お城の修理をするとか、煌都(こうと)で叛乱が起こったときに彼らで人垣を作ってもらって王宮に入れないようにするとか」

 また怒鳴りそうになったサル・シュくんが、カクン、ととまった。

 そうよね? わかるよね? 人手が必要で、その人手が強くなくても良い、ってこと、わかるよね?

「サル・シュくんとかキラ・シより弱いっていっても、大陸では普通の強さなの。敵は大陸の人達なんだから、大陸の兵士でも役に立つのよ」

 カチカチカチカチカチ……ってサル・シュくんが歯を鳴らす。

 そうか。

 叛乱鎮圧は職業軍人でも無いから、『弱い』んだ。

 なんで、氾濫で『戦って来てる』のに機嫌が悪いのかと思ってた。

 大陸の職業軍人でもキラ・シに小指の先で払われるのに、民間人の叛乱なんて、とにかく、サル・シュくんには『つまらない』んだ。

 元々、サル・シュくんは『逃げる戦士を追い駆ける』のって嫌いなんだよね。そういうのはショウ・キさんか殆どやってくれてたんだ。そういう戦場になると、サル・シュくんは抜け出して、全然違うところの偵察してたり、後ろで寝てたり、してるって言ってた。

 氾濫鎮圧ってそんな弱さだよね、確かに。

 鍛練にならないから、強くなれない。

 第一、サル・シュくんももう、30才を超えた。

 いつ死んでもおかしくないっていう恐怖がさらに彼を焦らせてるよね……

『30まで生きない』と言われて育ったんだもの。

 その30才を、超えた。

 今日死ぬかも、明日死ぬかも、って怖いのは、わかる。

『前』にレイ・カさんが言ってた。

『だが、サル・シュはまだしも、ガリメキアはあと10年いないぞ? 5年もぎりぎりなのではないか? 白いから、リョウより先に死ぬだろう。サル・シュもあれだけ白いから、早く死ぬはずだ。そして、あの二人のような強さは、他にはない』

 そう、言ってた。

『サル・シュもあれだけ白いから、早く死ぬはずだ』

 ずっと、サル・シュくんはそう言われて生きてきたんだ。

 産まれたときから、他の人より短命だ、って言われて、生きて来たんだ。

 そして、自分より白いシル・アさんは、多分、それが原因で、死んだ。

 戦いで殺されたんじゃなく、病死、したんだ。

 キラ・シが、一番いやがる死に方を、したんだ。

 サル・シュくんが、そっと、自分の右目を右手で抑えてうつむいた。

『目がかゆい』と言っていた、彼のその症状は、治っては、いない。

 じっとしていると、右目のまばたきが異常に多い。

 でも、かかないの。それだけが、マシ、だけど、イライラするよね。

 それだけでも『前の自分』より『弱くなった』もんね。

 目を、かいてはいないみたいだけど、多分、その『かけら』に肉が巻いちゃったのか、しこりが大きくなって、よけいにかゆくなってしまったみたい。

 瞬きというより、目をつむってるのかあけてるのか、ってぐらいになって、右目を常に潜ませてて、右目の白目の部分が血走ってきてた。

「サル・シュもそろそろ、血を吐くぞ」って、居ないところキラ・シの戦士たちがひそひそしてる。

 胃が痛い。

 私の胃が痛い。

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 

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