【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。215 ~21才年下の処女と初夜~

 

 

 

 

  

 

  

 

  

 

「ハル、カメラが回ってるぞ」

「はっ」

 床に下ろされたから、慌ててリョウさんの後ろに隠れた。でももう、注目の的! この、『紛れ込んだ』感酷い。有名人ばっかりっ! 怖いよー。私はただの女子高生なのよーっ! なんか端末ブルッてる。綺麗なバッグから必死で出した。長手袋が邪魔で、端末が鰻みたいに滑る!

『ハル! その人だれっ! 大統領のパーティーにいるの、あなたなのっ! ねぇ、全部の番組であなた出てるわよ! ちょっと、しゃんとしなさいっ!』

 母さんが、凄い数のメッセ送ってきてる。友人も凄い。ごめん、今、返してる余裕ない。

『家にも、凄い花束が来てるの! この人っ凄い、凄い有名人よっ! あんた、この人のしたことを批判する集会にも出てたわよ! あんたどこで知り合ったのっ! 父さんより年上よっ!』

 あちゃー……あの集会、そんなんだったんだ? 趣旨は知らなかったな……タダでご飯食べられるって言うから行っただけで……なんか不愉快な怒鳴り合いだったからこそっと帰ったんだ。

 つまりは、リョウさんの顔を知る機会はいっぱいあったんだね。

 でも、こっちだけ知ってリョウさん知らないとか、つらいよね。今まで顔写真見なくて良かった! こんな人に私からアクセスなんて、できるわけない。

「リョウさん、私の家に花束送った?」

「送ったぞ」

「なんで?」

「会う前に、名前を知らせておいた方がいいだろう。こうして連れ回しているし、誘拐で逮捕されてはたまらんからな」

「母さんが発狂してる」

「まぁ……そうだろうな…………端末を、しまってくれるか?」

「うん? うん」

 宝石のついた小さな鞄にしまってる間に、リョウさんが……しゃがん……で………………

 私に、指輪の入ったベルベットの箱を差し出した。

「ハル・ナ、未来永劫、俺の妻になってくれ」

 リョウさんが指輪を箱から出したから、左手、出した。薬指に……私の小指より大きなダイヤ……

 泣いちゃったら、抱きしめられた。

「喜んでっ……」

 大統領にも拍手されてる。凄い……ああ、申し訳ないけど、嬉しいっ!

 リョウさんが、カメラを呼び寄せた。

「結婚式をするからなっっ、ガリッ、サル・シュっ! ル・マ、ル・アっ! ショウ・キっ、レイ・カっ!『キラ・シの400人』、絶対来いよっ!」

 リョウさんが、指笛吹いた。

『リョウ・カからリョウ・カへ、全員集合』

 懐かしい……あの頃を思い出す。砂漠に、荒野に、森に響いてた、指笛……80年以上、聞いてなかったのに、覚えてるもんなんだな……

「よしっ!」

 めっちゃドヤ顔のリョウさん。カッコイイっ!

「公共放送を私信に使ってすまんな! 連絡の着かない奴が多くてなっ!」

 放送局の人達に手を振って、フラッシュの嵐。

「もうお帰りですかっ! 大佐っ!」

「今は大佐じゃない。それに」

 リョウさんがカメラをまた呼び寄せる。いやな予感。

「31才年下の処女と初夜だ。邪魔をするな」

「ナニ言ってんのっ! 馬鹿ぁっ!」

 パァンッ! って、思わず平手打ち。物凄いフラッシュ! しまったっ! 赤い手形のリョウさんの写真が流出するっ! 慌てて顔を抱きしめた。

「な? イキがいいだろ。

 世界中の友人よっ! 結婚式には勝手に来い。だが、三日は邪魔をするな!」

 メッチャ笑ってるリョウさん。

「サル・シュくんじゃないんだからよしてよっ!」

「あれぐらいはじけた方がいいと、俺も悟った」

「そんなの悟らなくていいっ!」

「オジサンに若返ってほしいのだろう?」

「………………はい……」

 そのあとの騒動は、本当に、もの、凄、かった。

  

 

  

 

  

 

「ずっと、こうするのが夢だった……」

 夢みるようにリョウさんが囁いてくれた。

「私もだよ…………リョウさん…………好き……大好き……会いたかった…………」

 嬉し涙なんて、100年ぶり。

 生きてて良かった……

 生きてて…………良かった…………

  

 

  

 

  

 

 4日後。

 家にリョウさんが挨拶に来てくれた時には、父さんの方が土下座して『持ってって下さい』って言った。

 というか、リョウさん、うちの玄関を斜めにならないと入れなかったよ……これで体脂肪5%とか、凄すぎる。

 大学入試でももう、顔を知られてるから凄い注目されて、カメラに追い駆けられた。

 入試が終わって、即行でナール・サス教授の研究所に駆け込んだら、そこに、ル・アくんが、いた。

「ハル?」

「ル・アくん……? 私の一年先輩?」

 私の隣で、教授も唖然としてる。

「えっ? キミ、ハルナさん?」

「うわぁ、ナール・サス教授って、マリサスの王様っ! あのあと、全然見なくなったからどうしたのかとっ!」

「そう……だね。今まで忘れてたけど……え? いや、ちょっと待って。ちゃんと思い出して!

 君、僕の王妃様だったでしょ?」

「そうだっけ?」

「えっ? お前がハルの旦那になったことあったのか?」

 ル・アくんが教授の襟首つかみ上げた。

「僕、98まで生きたよね? ずっと一緒に居てくれたよね?」

「……あー…………」

 そういやそんなこと、あったかな……

「じゃあ、史留暉(しるき)とか、磨牙鬼(まがき(史留暉の兄))くんとか、沙射(さしゃ)君も? えっ? 沙射君、いるよっ! あの時の羅季(らき)の皇帝っ! 僕は彼に殺され掛けたからっ、逃げたんだよっ! たしか、京守(けいしゅ)くんも居たよね? ル・アくん……って、キミ、夕羅(せきら)丞相っ!」

「いたいた。京守いたっ! 京守の側に威衣牙(いいが)もいるっ! って、沙射っ! 沙射っ! あれ、沙射っ? 俺、沙射に殺されたんだぜっ! あっ!」

 なんか凄いことになってきた。

 それに、沙射君に殺されたの? だから、沙射君が夕羅丞相の死亡発表したの? 何したのキミ。

 そっか……ル・アくん周りも凄い人間関係だったもんな……主に、あっち方面で。

 けっこう固まって転生してるみたい。

 なら、本当に、リョウさんだけ一人っておかしい。

「ガリ・アって、俺の父上っ! 今、沙射の父親だよっ! 育ての親らしいけど、仕事、何してんのかわからなかったっ! あーっ! あの人かっ! 超うさん臭いぞっアレッ! すげぇ納得したっ! キラ・シの族長がそこらへんにいたら、そりゃうさん臭くて当然だっ!」

 ガリさん発見! うっわー……リョウさんにラインっ!

「そうだよね。副族長のリョウさんでもあれだもん。ガリさんは軍人系じゃなかったの? ル・アくんは? 普通の大学生?」

「……聞かないでくれ……」

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました