【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。115 ~逃げたっ!~

 

 

 

 

  

 

  

 

  

 

「他に誰がつける?」

 そうだね。

 三千人分の名付け親……凄い。

 そっか、だから沙射皇帝に名前つけろって言われても、普通につけたんだ? で、名前つけたから、大事にしてるんだ? そっかそっか。

 沙射皇帝も、ガリさんにとっては『自分の子』扱いなんだ?

 納得した。

  

 

  

 

  

 

 そろそろ歩きたい。

 ベッドから足を下ろしたところにリョウさんとサル・シュくんが来た。

 案の定、ベッドに抱え戻されて、頭ぽんぽんされる。

「もう歩けるってばっ!」

 サル・シュくんは、何も言わずに、私より奥にいるマキメイさんを抱いて連れて行った。

「腹が凄いことになっとるじゃないかっ! 千切れて落ちる!」

「そんなの聞いたことないっ! 大丈夫っ!」

 せっかくつけた筋肉が全部落ちちゃうよっ!

「おなかは、リョウさんが揉んでくれれば、小さくなるよ」

 って言ったら、本当に、手が開いたときにモミモミモミモミモミ、飽きもせずに延々としてくれるようになった。

 いやいやリョウさん、他の女の人達もみんな子供うんでるでしょ?

 とは、言わない。

 そばにいてくれるの嬉しい。

「リョウ叔父ー、入っていい?」

「ダメだ」

 モミモミしてくれてるところに来たサル・シュくん。

「リョウ叔父が泣いて喜ぶいいこと教えてあげるから、入れて」

「一応、聞こう、リョウさん」

 リョウさんが私を、ほぼ布団蒸しみたいにグルグル巻きにした。

 サル・シュくんが、ツカツカ近づいてきて、私の首筋に顔を埋めてクンクンする。

「それやめろっ!」

 リョウさんメッチャ怒ったけど、サル・シュくんはへらーっ、と笑って頷いた。

「ハル、今日孕むぜ、リョウ叔父!」

 サル・シュくんは、殴られる寸前にそんなことを、言った。

「ナニを言っている。産んだばかりだぞ!」

「マキメイも一昨日それでさー、だから、引き取ったんだけど、ちゃんと当たったよ? その時に、ハルが、二日後ぐらいだなー、って思ったから」

 排卵日が分かるのも凄いと思ったけど、そっか……

 妊娠してる、ってのも、日数までわかるんだ?

 凄すぎるわ、サル・シュくん。

「お前っ、いつハルを嗅いだっ!」

「マキメイを抱き上げるときにっ! そこで怒るなよっ! というか、嗅ぐのもダメなの?」

「ダメだっ!」

「病とかもわかるかもしんないのに?」

 サル・シュくんならわかりそう……

「山でさ、あいつそろそろ死ぬぜ、って言うの、当たっただろ?」

 既に当ててた!

「重くなる前に分かるかもしれないだろ! 嗅ぐのぐらい、いいよな? リョウ叔父!」

 リョウさんが、すっっっごいいやそうに頷いた。

「今日やっちゃえ」

「……産んだばかりだぞ? 腹もこんなんだし」

「全然大丈夫」

「マキメイは、初産ではなかったからではないのか?」

「他の女もちゃんと当たったよ? 初産が10人ほどいた」

 サル・シュくん……

「ま、あとは好きにしてっ!」

 さっそうとサル・シュくん退場。

「そうそう、女たち、もうみんな普通に歩いてたから、ハルも歩かせて大丈夫だろ」

「そうだよ、リョウさん。私も歩けるって!」

 サル・シュくんが出て行った部屋で、リョウさんはしばらく、立ち尽くしてた。

  

 

  

 

  

 

 結局、昨日、シタ。

 一日くたばってしまった。

「……リョウさん、なんで、あんな何回も、イかすの?。一回でいいよ」

「何回もそうしたほうが子が生まれやすいらしい」

「ホントに?」

「そう伝わってる」

 キラ・シが嫌われない原因はこれだろうな、とは、思ってたけど、多分これだ。無理やりしない上に気持ちいいとか、嫌えるわけがない。

 私、処女だったから、翌日はものすごく痛かったけど、『その時』は痛みなんてまったくなかった。

 ガリさんも、延々イかせて来たし……頭が溶けちゃうよ。

 翌日、部屋を出たらサル・シュくんがニカッ、と笑ってた。私の首筋でスンスン。

「当たってる!」

 バッチグーッ! って感じのリアクションされた。あれって古今東西一緒なんだな……

 とにかく、ホント凄いね、それ。

「リョウさんの子供?」

「リョウ叔父以外としたのでなければ」

「するわけないでしょっ!」

「これで、ガリメキアの子供産むのは遠ざかったけど?」

 まだ、サル・シュくんは、笑ってた。

 そっか……、昨日、リョウさんが凄く悩んでたのは、私の体のことだけじゃなかったんだ?

『来年は俺のだぞ』

 ガリさんの声が耳に響く。

 でも、まだ今年だし、いいのかな?

 とにかく、ヨタヨタ玄関まで行こうとしたら、やっぱり息切れしてうずくまっちゃった。リョウさんに地図のところまで連れて行ってもらう。

 地図の短冊は南西が殆ど取られて、使い回しのが刺されてた。ガリさんが、既に50枚近く刺さってる。本当に、あの人は凄い。……サル・シュくん、68枚あった……はっやいっ!

 もう口説く必要がないから?

 他の戦士も、たしかに速いかも。

 サル・シュくんて、これでル・マちゃん口説くんだよね。私がル・マちゃんでも、今一つ信用できないわー。

 なっがい腕が私の後ろから短冊刺した。

「ガリさ……っ!」

 気配消して後ろに立たないでほしい……

 振り返った先で、なんか不穏に眉寄せてた。ナニ? 両肩掴まれて、首筋にスンスン。やめてっ!

「ガリ……、触るなとあれほ」

「なぜハルが孕んでいる」

 私!

 リョウさんが一瞬固まって、息を吐いた。そこに、ガリさんの回し蹴り炸裂。リョウさんの左肩をつかんで、おなかに何回か膝蹴りを入れて、リョウさんが膝をついた。

 玄関、シーンッ!

「次は俺だと言った」

 それで……怒ってるんだ?

「……まだ、今年だ……」

 ガツッ、てもう一度蹴って転がした。

 あの熊さんが跳ね上がった!

「リョウ叔父ー、なー、これさー……」

 サル・シュくんが、頭をかきながら玄関に出てきた。

 広間まで三歩入って、ようやく気づいたらしい。

 ガリさんを見上げて、目だけでリョウさんを確認して、私を見て、もう一度ガリさんを、見て、踵を返した。

 逃げたっ!

  

 

  

 

  

 

 

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