【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。128 ~出す以外は全部~

 

 

 

 

  

 

  

 

 頭、ぼーーーーーーーーっとする……

 サル・シュくんは留枝(るし)へ、ガリさんは車李(しゃき)へ、リョウさんは制圧へ、レイ・カさんがお留守番。

 地図を見上げてたら、レイ・カさんが覗き込んできた。それでも、手を伸ばしても触れないぐらい向こう。

「……大丈夫か? ハルナ。目を開けたまま、寝てないか? 部屋へ帰れよ」

 レイ・カさんって、『他人の女』には話しかけてくるのかな?

 気さくな人だと思ってた分、『前回』きつかったなぁ。

「起きてる……けど…………なんか、限界……」

 みんな自分で短冊書いて、自分で刺してくれるから、私、ここにいなくていいんだけど……

「ベッドに……いたら…………ル・マちゃんに……襲われる……」

 そっか……それで私、ここにいるんだ?

 それになんか、みんないて、安心する。

 もう『現代』での人生の何倍も、こっちで生きてるから……脳内は既に老女なんだよね、私。

『前回』の車李(しゃき)で、私が、殺しまくったからなぁ……

 何人殺したかな毒で…………

 なんか二人ぐらい、ナイフえぐり込んだ人がいた気がする。塔の上に連れてって、足持ち上げて窓から落としたりとか……

 なんか、本当に、女の腕でできる限りの人殺しをしたなぁ……

 あの時代にしては結構長生きだったと思うし……

 そうだ、今回あそこらへんまで生きたら、ナガシュのあの子、調べておかないと……

 白い髪で赤い目の……赤一色は、王様か、王太子の服の筈。

 部分的に白かったけど、全身ケロイドみたいな、凄いことになってたな……あー、地獄から使者が来たかー……と思った。

 あの子、今はまだ生まれてないんだよねー……

 生まれたら、子供のウチに殺しとくか……

 とりあえず、雅音帑(がねど)王は、草の根わけてでも殺しておかないと……

 そうだ、雅音帑王の似顔絵描いてガリさんに渡しておこう。死体を確認してほしい。というか、彼を殺せるならお城は崩さないでほしい。

 ああ……でも、『前回』の『黄色い子の粛清』は雅音帑王がいなくなっても出たもんな…………とにかく、ナニカあったときに目立つから、殺されやすいんだ。

『無条件で殺していい人間』がいると、政府は人民の管理が楽になる。

 そりゃ、突然増えた黄色いのを殺したいよね。

 あれを、乗り越えなきゃ、キラ・シが残ったとは言えないし……ガリさんの望みがかなったとは、言えないよねぇ…………

 そこをどうクリアするかが『キラ・シを残す』って大プロジェクトの最大ポイントなんだよな……

 あそこまでいったからもう大丈夫! と思ったのになぁ……

 でも『黄色い粛清』なんて、どうやって止めたらいいんだろう?

 いっその事、大陸の白人全部殺してしまう?

「あぁ……女同士でナニをしてるんだ?」

「出す以外は全部」

 どうしたらいいのかな…………やっぱり、ル・マちゃんとガリさんの子供が必要なの……か…………

「私、今ナニ言った?」

 レイ・カさんが真っ赤になってた。

「忘れてクダサイっ!」

「わ……わかった…………」

 目が覚めたっ! びっくりした。ナニ言ってんの私!

「あ……」

「ハルナ!」

 興奮したからか、立ちくらみが…………

 つい、この時期は体力ないことを忘れる。

 もう、『いつも』プチ筋トレとか、歩き回ったりとか体力つけてるから……

 この『転生最初の頃』の体力の無さ、きつい……

 しかもあの三人にアレって……生きてるだけ不思議だわっ!

 咄嗟にレイ・カさんが支えてくれたみたいだけど、その手が、震えてた。

 チョット待って、支えてる人に震えられるって超怖い……でも、足立たない……

「立てるか? ハルナ?」

「……無理……です……」

 このまま寝ちゃいたい。目が開かない。

 あの人達、無茶過ぎなんだよもう……

「だ……誰かっ…………」

 レイ・カさんがなんか、裏返った声出した。

「崩れるっ! 誰かっ、支えろっ! こぼれるっ! どこ持ったらいいんだこの女っ!」

「…………触ったら、あの三人に殺される」

 冷たい声が飛んでる。

 ごめん、なんか、立てそうだけど、このままならどうなるのか、見てみたくなった。『無』にはならなくていいけど、全身の力を抜いてみる。力入れないと持ちにくいんだよね?

「俺も殺されるっ! 助けろっ! あ! ル・マを呼んでこいっ! 誰かっ早くル・マを呼んでこい!」

 レイ・カさんがメッチャ焦ってる!

 そうだよねー、レイ・カさんって、こういう人だよねー。

 なんで『前回』あんなそっけなかったんだろう。

『前回』の私、あれ、ちょっと狂ってたんだよね? ちょっとじゃないな。かなり狂ってたな。人一人見えなくなってたんだもんね。おかしすぎる。あんなこと、あるんだなー。

 なんかもう、『愛され慣れ』してて、愛されないことがショックだった。なんて傲慢だったんだろう。

「ル・マっ! 早くハルナを支えてくれっ!」

 ル・マちゃんも、さすがにレイ・カさんには毒づかないみたい。

『前』も、ガリさんですら『次は俺だぞ』って一度も言わなかった。ここらへん、レイ・カさん、凄く物分かりいい人なんだろうな。

 ル・マちゃんが脇を持って持ち上げてくれて、椅子に座らさせてくれた。そして、ギュッてされるから、ギュッて返した。で、ディープキス。

 これはやめてほしいんだけど、逆らうのももう面倒……

 玄関でイかそうとするのやめてホント。

「ハルナ大好きーっ!」

「……よくわかった」

 誰? なにがわかった……の……?

「レイ・カさんっまだいたのっ!」

「ずっといた」

 まだ赤い顔してるレイ・カさん。

 ここで立ち去ったり、あっち向いたりしないのがホント、キラ・シだよね、まったく……

 玄関の全員、まっすぐこっち見てるし……

『遠慮』って単語がキラ・シにはないんじゃない?

「女同士でも気持ちいいのか?」

 そして、こういうことを普通に質問できるんだよね。

「ル・マちゃんも、男根以外、全部一緒だよ」

「そうだぞーっ! 俺だって制圧行きたいっ! 誰か俺の子産めーっ!」

「…………そうか…………そうだな……ああ、だから、出す以外は全部、か……そうか」

「忘れてって言ったじゃないっ!」

「もう無理だな」

 この男はっ! ある意味、サル・シュくんよりタチ悪い!

「逆に聞くけど、なんでル・マちゃんが、女の子の抱き方知ってるの?」

  

 

  

 

  

 

 

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