痛すぎる彼氏の小説集。by 晶山 嵐（しょうやまらん）

　　　 　 　　 　 　　 　 　ずっとキラ・シはあちこちで戦ってるものだと思ってた。 　だって『制圧』って聞いたら、そう思うよね？ 　まさか『無血懐柔』してるなんて、考えてもみなかった！ 「ラキの挨拶は？　拳を握ったら殺...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 　ガリさんたちが出陣した後、お城のキラ・シが凄く減った。 　制圧した村を定期点検しないといけないってことらしい。そりゃ、あとから来て所有権主張したら、いざこざは起きるよね……と思っ...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 『ずっと…………あいつの刀が刺さったままだ……』 　砕け散ってしまいそうだった、あの時のガリさん。 　今回、サル・シュくんが死んだら、……私にも、その刀が、刺さる…… 　ガリさ...

　　　 　 　実際、１０日後に帰って来たんだから、ずっといればよかった。 　でも、それは、全部、結果論だよね。 　あのまま進んだかもしれなかった。本当に、このお城に戻って来なかったかも、しれなかった。 『臨機応変』がこんなに身に沁...

　　　 　 　　 　 　　 　 「……それは、まぁ…………」 　うん……聞いた………… 「私の子供が欲しいからっていうのは、聞いてるよ。私、ほら、『外の女』だから。他の血入れないと、小さい部族は駄目になるよね」 「違う」 ...

　　　 　 　【　ハルナ　】 　 　　 　 　　 　 「副族長っ！　族長が出陣されました！」 　塔の上までキラ・シの子が走ってきて、どんどんリョウさんに報告をする。 　それを聞きながら、リョウさんは私を抱キ上げたまま階段...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 　余裕綽々で笑ってた目が、見開いた。 　一瞬、うるっと揺れて、またたきして、大きく息を吐きながら背を伸ばす。民族音楽を演奏してるみたいに、髪の玉がカラカランと鳴った。 　ガリさん...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 　あ、そうだ、ガリさんが……居た。よく忘れられたな、私。 「ならば、ハルは、族長の、俺のものだ」 　まったく動かず、ガリさんは言い切った。 『俺のもの』……なんだ………… 『...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 「え？」 「誰が危険、というときは、名前だけで最後を伸ばす。だから、『ハルが危険』という時はみなが『ピピピピー』と吹く。 　それを聞いた全員が、ハルを助けるために、動く」 　ぞ...

　　　 　 　　 　 　　 　 　　 　 　二カ月？　そのころなんて、どうなってるかわからないよ？　このお城にいるかもわからないんじゃない？ 「どうして？」 　なんで？　早く抱いてくれたら、もう終わるのに！ 「ハルは、...