【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。129 ~もう支えないからな~

 

 

 

 

  

 

  

 

「誰かが女館入るとき、いつも一緒に入ってた!」

 ル・マちゃんがワーイッてはしゃぐ。

「レイ・カさん……なんで?」

「成人前の子供に、やりかたを教えるから」

 ああ、そうだよね、昔だとそうだよね!

「なんで女の子のル・マちゃんを外さなかったのよ!」

「子供来ーい、って言ったら、こいつも来るから。

 こいつを外すの大変なんだ。入れた方が手間がない」

 凄いわかる。

 あれ? それでいうと、私としてるときに誰も子供を呼ばれなかったのは、ラッキーだった? そんなことされたら恥ずかしさで死ねる……

「ハルナ気持ちいー。ふわふわー」

 ル・マちゃんがおんぶお化けになって胸揉んでくるやめて。

「ハルナはふわふわなんてものじゃない! 水みたいだ! 手からこぼれそうで、本当に怖かった! 初斬のときより怖かった!! ハルナ、立つなよ! もう支えないからな!」

「はーい……黙って倒れて頭打って死んじゃうから、心配しなくていいよ」

「立つな」

「歩かないと、出産の時に体力無くて死んじゃうのよ」

「キラ・シの女は、歩かなくても死なないぞ?」

「私は死ぬの。キラ・シがどうかはしらないけど『下』の女の人達、みんな歩いてたでしょう?」

「…………たしかに」

「あれをしないと、死ぬの。

 だから、座ってばかりだと、死ぬの。

 だから、歩かないといけないの。

 歩いて体力つけないと、子供を産む前に死ぬの」

 実際死んだんだから私。

 キラ・シみたいに、『死ぬ』で全部攻めてみた。

『健康に悪い』とか、理解しないんだもん。全員健康化け物なんだから。

「レイ・カさんにお願い。

 あの人達に言って? 私が歩けないぐらいしないで、って。ホントつらいのよ、アレ!」

「それは、たしかに、そうだろうな。伝えておこう」

 伝えてくれるんだ? しかも、真顔で。

「……というか、よく崩れないな……」

「ナニが崩れるの?」

「リョウが乗ったらつぶれないか?」

 じろじろ私の腰回り見てる。

 こういうのは恥ずかしくないの? レイ・カさんのポイントがわかんないなー……

「全然想像がつかない」

「想像しなくていいよ」

「生きてるのが不思議だ……」

「なら、止めてね? あの人達」

「言うだけは言う。それは任せろ。他人の女でも死なれたくない」

 まじめ。

「だが、もうハルナは孕んでるから、来年まで無いだろう」

「……あぁ…………そうね……そうだね!」

「言うか?」

「一応、来年のために言っておいて。早いウチに」

「わかった」

 ホント、まじめ。

 多分何もかも猥談だと思ってしてるわけじゃないんだよね。

『崩れるっ! 誰かっ、支えろっ! こぼれるっ! どこ持ったらいいんだこの女っ!』

 あんなに焦るとは思わなかった。

『前回』もそれで私がいやだったのかな?

「レイ・カさん、森の中で、私を最初に見つけてたらどうなった?」

「………………置いていく」

 やっぱり。

「どこの部族かわからないものを連れては来ない」

「リョウさんでも、身元なんて聞かなかったよ?」

「……よくそんなことができると思う」

 これってガリさん批判でもあるよね? ガリさんだってそうだったんだから。

「じゃあ、私が助けてください、って言ってたら?」

「それは……連れて行くだろうな」

 そこが優しい。

「それで、私に子を産ませる権利が来るよね?」

「…………そう、だな……」

「どうするの?」

「それは…………抱くのは抱くだろうが、二度と触らない」

 やっぱりかー。

「それはなんで?」

「ハルナの体は怖い。細すぎる。柔らかすぎる。皮膚の上から直接内臓を触っているみたいで気持ち悪い」

 気持ち悪いときたか……でも、正直に言ってくれるだけありがたい。『前』本当に悩んだんだから……

「『下』の他の女の人達にも、私ぐらいの、居るでしょう?」

「いない」

 凄い断言された。

 そっか。今は農村を回ってるから、女の人、みんなたくましいのかな?

「ハルナの腹が膨れるのとか、見たくない。怖い」

 あー…………『前回』はそういうことだったのかー。

 だから、生まれてからしか、来なかったんだ?

「そんなに私をお嫌いですか?」

「それはない」

 断言。

 嫌われては……いなかったんだ?

『前回』それに気づいていれば、もうちょっと幸せだったなー。

 今言っても仕方ないことだけど。

「ハルナを嫌うことなんてない。

 ハルナは凄いぞ。

 このチズとか、エとか…………特に、このタンザクがいい。わかりやすい」

「ありがとう」

 ちょっと照れた。

「レイ・カさんはどういう女の人が好きなの?」

「腕にどっしり来るのがいい」

「どっしり?」

「これぐらい」

 抱き締めた感じで腕を前にまわして輪を作った。

 リョウさんより大きいよ、それじゃっ!

 ああ、そっか。キラ・シの女の人達がそんなんだから?

『栗十個で腹一杯なのかお前っ! もっと食え! 女は男の三倍あって当然だぞっ!』

 そんな感じのことを『最初』の頃、リョウさんが言ってたな……

 アフリカのほうの、太ってれば太ってるほど美人、っていうのがキラ・シにもあるんだろうな、と思ったけど、本当にそうみたい。

「そんな人、そんないないよねぇ」

「いないなぁ。だが、ほどほどに大きいのはいる」

 この時代でも太ってる人はいるんだ?

『太る』って食べ物がたくさんあるってコトだから、農村ばっかり回ってるとそんないなさそうだよね?

『前』に他の村に行ったとき、太ってる人なんて見かけなかったけどなぁ。裕福な村の村長の娘さんとかは太れるのかな?

「こう……俺の腕がまわりきらないぐらいがいいな……」

「その長い腕で!」

 この顔でトカゲ食らうか……ってよく言うけど、若い女の子がきゃーきゃーいいそうな容姿なのに、超デブ専なんだ、レイ・カさん。そりゃ、私はアウトオブだわ。

 私も『現代』だと、細くはないんだけど……決して、美容体重ではないもんね。

『前回』のは、納得した。

 生まれ変わってもレイ・カさんとは幸せになれそうにない。そこは諦めよう。

 彼のために太るかっていうと、それはいやだわ。

 けど、レイ・カさんとラブラブになったらどうだろう……ってのは、思うな。

 どうせ生まれ変わるんだし、次があったらやってみようかな? 食っちゃねしてればそうなるよね? キラ・シが運んでくれるだろうし。でも、出産で死にそうな気もする。

「あれ? そういえば、なんでレイ・カさん、お城にいるの?」

「持ち回りのシロ番だ」

「違うよ、サル・シュくんが留枝(るし)に行ったのに、相棒なんでしょ?」

  

 

  

 

  

 

 

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