「誰かが女館入るとき、いつも一緒に入ってた!」
ル・マちゃんがワーイッてはしゃぐ。
「レイ・カさん……なんで?」
「成人前の子供に、やりかたを教えるから」
ああ、そうだよね、昔だとそうだよね!
「なんで女の子のル・マちゃんを外さなかったのよ!」
「子供来ーい、って言ったら、こいつも来るから。
こいつを外すの大変なんだ。入れた方が手間がない」
凄いわかる。
あれ? それでいうと、私としてるときに誰も子供を呼ばれなかったのは、ラッキーだった? そんなことされたら恥ずかしさで死ねる……
「ハルナ気持ちいー。ふわふわー」
ル・マちゃんがおんぶお化けになって胸揉んでくるやめて。
「ハルナはふわふわなんてものじゃない! 水みたいだ! 手からこぼれそうで、本当に怖かった! 初斬のときより怖かった!! ハルナ、立つなよ! もう支えないからな!」
「はーい……黙って倒れて頭打って死んじゃうから、心配しなくていいよ」
「立つな」
「歩かないと、出産の時に体力無くて死んじゃうのよ」
「キラ・シの女は、歩かなくても死なないぞ?」
「私は死ぬの。キラ・シがどうかはしらないけど『下』の女の人達、みんな歩いてたでしょう?」
「…………たしかに」
「あれをしないと、死ぬの。
だから、座ってばかりだと、死ぬの。
だから、歩かないといけないの。
歩いて体力つけないと、子供を産む前に死ぬの」
実際死んだんだから私。
キラ・シみたいに、『死ぬ』で全部攻めてみた。
『健康に悪い』とか、理解しないんだもん。全員健康化け物なんだから。
「レイ・カさんにお願い。
あの人達に言って? 私が歩けないぐらいしないで、って。ホントつらいのよ、アレ!」
「それは、たしかに、そうだろうな。伝えておこう」
伝えてくれるんだ? しかも、真顔で。
「……というか、よく崩れないな……」
「ナニが崩れるの?」
「リョウが乗ったらつぶれないか?」
じろじろ私の腰回り見てる。
こういうのは恥ずかしくないの? レイ・カさんのポイントがわかんないなー……
「全然想像がつかない」
「想像しなくていいよ」
「生きてるのが不思議だ……」
「なら、止めてね? あの人達」
「言うだけは言う。それは任せろ。他人の女でも死なれたくない」
まじめ。
「だが、もうハルナは孕んでるから、来年まで無いだろう」
「……あぁ…………そうね……そうだね!」
「言うか?」
「一応、来年のために言っておいて。早いウチに」
「わかった」
ホント、まじめ。
多分何もかも猥談だと思ってしてるわけじゃないんだよね。
『崩れるっ! 誰かっ、支えろっ! こぼれるっ! どこ持ったらいいんだこの女っ!』
あんなに焦るとは思わなかった。
『前回』もそれで私がいやだったのかな?
「レイ・カさん、森の中で、私を最初に見つけてたらどうなった?」
「………………置いていく」
やっぱり。
「どこの部族かわからないものを連れては来ない」
「リョウさんでも、身元なんて聞かなかったよ?」
「……よくそんなことができると思う」
これってガリさん批判でもあるよね? ガリさんだってそうだったんだから。
「じゃあ、私が助けてください、って言ってたら?」
「それは……連れて行くだろうな」
そこが優しい。
「それで、私に子を産ませる権利が来るよね?」
「…………そう、だな……」
「どうするの?」
「それは…………抱くのは抱くだろうが、二度と触らない」
やっぱりかー。
「それはなんで?」
「ハルナの体は怖い。細すぎる。柔らかすぎる。皮膚の上から直接内臓を触っているみたいで気持ち悪い」
気持ち悪いときたか……でも、正直に言ってくれるだけありがたい。『前』本当に悩んだんだから……
「『下』の他の女の人達にも、私ぐらいの、居るでしょう?」
「いない」
凄い断言された。
そっか。今は農村を回ってるから、女の人、みんなたくましいのかな?
「ハルナの腹が膨れるのとか、見たくない。怖い」
あー…………『前回』はそういうことだったのかー。
だから、生まれてからしか、来なかったんだ?
「そんなに私をお嫌いですか?」
「それはない」
断言。
嫌われては……いなかったんだ?
『前回』それに気づいていれば、もうちょっと幸せだったなー。
今言っても仕方ないことだけど。
「ハルナを嫌うことなんてない。
ハルナは凄いぞ。
このチズとか、エとか…………特に、このタンザクがいい。わかりやすい」
「ありがとう」
ちょっと照れた。
「レイ・カさんはどういう女の人が好きなの?」
「腕にどっしり来るのがいい」
「どっしり?」
「これぐらい」
抱き締めた感じで腕を前にまわして輪を作った。
リョウさんより大きいよ、それじゃっ!
ああ、そっか。キラ・シの女の人達がそんなんだから?
『栗十個で腹一杯なのかお前っ! もっと食え! 女は男の三倍あって当然だぞっ!』
そんな感じのことを『最初』の頃、リョウさんが言ってたな……
アフリカのほうの、太ってれば太ってるほど美人、っていうのがキラ・シにもあるんだろうな、と思ったけど、本当にそうみたい。
「そんな人、そんないないよねぇ」
「いないなぁ。だが、ほどほどに大きいのはいる」
この時代でも太ってる人はいるんだ?
『太る』って食べ物がたくさんあるってコトだから、農村ばっかり回ってるとそんないなさそうだよね?
『前』に他の村に行ったとき、太ってる人なんて見かけなかったけどなぁ。裕福な村の村長の娘さんとかは太れるのかな?
「こう……俺の腕がまわりきらないぐらいがいいな……」
「その長い腕で!」
この顔でトカゲ食らうか……ってよく言うけど、若い女の子がきゃーきゃーいいそうな容姿なのに、超デブ専なんだ、レイ・カさん。そりゃ、私はアウトオブだわ。
私も『現代』だと、細くはないんだけど……決して、美容体重ではないもんね。
『前回』のは、納得した。
生まれ変わってもレイ・カさんとは幸せになれそうにない。そこは諦めよう。
彼のために太るかっていうと、それはいやだわ。
けど、レイ・カさんとラブラブになったらどうだろう……ってのは、思うな。
どうせ生まれ変わるんだし、次があったらやってみようかな? 食っちゃねしてればそうなるよね? キラ・シが運んでくれるだろうし。でも、出産で死にそうな気もする。
「あれ? そういえば、なんでレイ・カさん、お城にいるの?」
「持ち回りのシロ番だ」
「違うよ、サル・シュくんが留枝(るし)に行ったのに、相棒なんでしょ?」
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