【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。134 ~女子プロレスラー~

 

 

 

 

  

 

  

 

 また富士見台の家……

 動脈切った失血死って早いらしいから、すぐ死んだんだろうな。

 あそこで、サル・シュくんまで死んでくれるとは思わなかったけど……

 こんなところに連れてきてごめん、とか、後悔が全然見えなかったのも彼らしい。心ではしてたのかもしれないけど、何も言わなかった。

 ただ、一緒に、死んで、くれた……

 そういう人だったんだ?

 女のために死ねる人だったんだ?

 嬉しい……って、思っちゃ、いけないのかな?

 あそこで、ただ看取られただけでもよかったのに……

 確実に、サル・シュくんが、私と死んでくれる、っていう、約束の、左手。

 あれがなかったら、あのあとサル・シュくんどうしたんだろう……って、私は今もずっと、悩んでたよね。

『あの時間』の来世があれば、きっと、そばに生まれ変われたよね……

 あんなに、私に必死になってくれる人なんて……いない……

 前途洋々たるキラ・シで、女一人のためにあんなことになるなんて……サル・シュくんの馬鹿……

 そう言えば、ガリさんも、私を助けるために死んだのよね。

 女の人に必死になるのは、キラ・シ全員なのかな?

 レイ・カさんが変わってただけなのかな。

 でも彼も、私の子をずっと育ててくれてたのよね。

 みんな、必死よね。

 命を賭けて生きてるのよね。

『最初のうち』は『現代』に帰りたい、死にたいって良く思ったけど、最近すごく『生きたい』って思うようになった。

 別に自殺願望とまではいかなかったけど、『現代の私』は『生きる気力』なんてあったのかな?

 毎日、楽しかったかな?

 佐川くんのコトとか、小さな白い花とか、小さなことにいつも喜んではいたから、楽しんでは、いたわよね。

 その一瞬一瞬に、命がかかってるなんて、もちろん、思ってなかったけど。

 キラ・シと生きていきたい。

 今は、すごくそれを思う。

 そんなことを考えたからかな。

 森の中で、レイ・カさん……

 相変わらずそっけない。

 助けてって言ったら助けてくれたし、最初のたき火で先見して『重要人物』になって、羅季(らき)城について……

 よし!

 今回は、レイ・カさん好みに太ってみよう!

 さぁ、食べるぞ!

 でも、運動もしないと出産で死んじゃうから、歩いてはおかないといけないんだけど……けっこう、カロリー摂取って難しいね……どれぐらい食べたらいいんだろう?

 私、そういえば、そこまでスイーツ好きじゃなかった。まいったなー…………それに、この時代『甘いもの』って凄い高価。

 そうだよ。この時代が、三国志より前だとしたら、人口爆発がおこる前なんだ。

 稗とか粟とか食べてたのが、お米を食べるようになって、カロリーが増えたから人口増えたんだよ。

『この世界』でも、東南三国でだけお米を作ってて、『玄米』だけど、凄く高価。

『太る食べ物』自体が、手に入らないんだよ。

 とにかく、からいおかずとお米でやってみよう。三カ月ぐらい頑張れば、胃も脹れるよね。おせんべいとかあればいいのに。

 今までは、おいしいのをちょっとずつ、で良かったけど、おいしいのをたくさんっ! だよ。

 あ、羅季(らき)巻きって、お米の皮だから、あれ、カロリー高いよね?タンパク質も一緒にとれるし! 油もある! 翌日から、吐くほど羅季巻き食べた。

 凄いっ、一カ月で頬がぽっちゃりしたっ!

 私、前はル・マちゃんより見た目細かったんだよね。それが、横がル・マちゃんと同じぐらいになった! 全部脂肪だけど。

 レイ・カさんが帰って来たときに、ふっ……て私を、見た。

 前は無視されたのに。

「ハル?」

「うん」

「え? ハル?」

 頬を両手でぽよぽよされた。

「ハルなのかっ?」

 ぽよぽよぽよぽよ。

 凄い嬉しそうなレイ・カさん。やっぱり、これがツボなんだ?

『ここから』が、許容範囲なんだ?

 前の私はきっと、レイ・カさんには『見えてなかった』んだ?

 これでも良さそう? これぐらいなら、そんな食べなくても良さそうだけど……

 ぺたっ、て、胸を触られた。

 とたんにシュン……としたレイ・カさん。

 そんな、あからさまな残念顔っ!

 そっか、巨乳派かっ!

 食べておっぱいは大きくなるかなぁ?

「レイ・カさんが揉んでくれたら大きくなるよ」

「そうなのか?」

 一晩中揉まれまくった。

  

 

  

 

  

 

「ハル! ハル! 土産っ!」

 レイ・カさんが制圧から帰るたびに、サル・シュくんみたいに騒ぐ。面白い。というか、帰ってくる回数が前とは段違い!

 毎回カロリー高そうな食べ物がお土産なのも面白い。凄い甘いものばっかり。

 私が食べてるのを楽しそうに見てる。そして抱きしめておっぱいもみもみ。でも全然、両手は回るね。前から抱きしめられて、レイ・カさんの左手が私の右脇まで届く。

 でもこれ、相当太ってるぞー……『手が届かないぐらい』ってどんだけなの? 今でも相当の『わがままボディ』だよ?

 それに、私が太ってきたら、キラ・シのみんなも、なんか…………違う。

 前からみんな優しかったけど、とにかく、食べ物をくれる。

 地図の前に座ってたら、お膝に食べ物がこんもり積まれてる。

 もしかして、細い私でも興味がある、リョウさんとかガリさんとかサル・シュくんが異常?

 でも、その三人も、やたら食べ物くれる。

 太ってる方が、いいのはいいんだ?

「あー、ハルって、女かどうか迷ったけど、やっと女っぽくなってきたーっ!」

 サル・シュくんが凄い喜んでる。

 確かにおっぱいも大きくなってきた。

 でもちょっと、歩きにくいのよこの体。股擦れして痛いし!

 みんなが私をみてニッコニコしてる。

「シロに女がいるってすげー……」

 ル・マちゃんをあんなに口説いてた口でナニを言うのかしら、この子は。

「触るなよ。サル・シュ」

 レイ・カさんが、リョウさんバリの嫉妬心出してきた。

 うわ、感動……!

『前』はあんなに無視されたのに!

「次は俺だからな」

 ガリさんも主張してきた。

「…………やっぱり、俺もそうならないと、父上抱いてくれないのかなー……」

 ル・マちゃんも、私の腕に抱きついて真剣に考えてる。

「こんな太ったら戦えないよ? ル・マちゃん」

「でも……今でも出陣させてくれないし……」

 そうだね……

 私の方はいつもどおりのことしてるだけで、レイ・カさんがとにかく優しくて、よく笑ってくれて、嬉しい。

 子供みたいに笑うの、レイ・カさん。かわいいっ! もっと太るから、待っててね!

 出陣の時に玄関先でいつも長い長いキスをくれる。おしりもみもみされる。まだ、抱きしめてくれたときにレイ・カさんの腕は回るけど、山を降りてきたときの三倍ぐらいにはなったかな?

「早く帰ってくるから」

 また、チュッてして、走ってくレイ・カさん。

 ル・マちゃんも最近ずっと食べてて、ふくふくしてきた。鍛練はしてるから、筋肉の上に脂肪がついてる感じで、女子プロレスラーみたいになってる。

「うわ、ル・マも女になるんだ?」

 サル・シュくんが顔面に回し蹴りくらってた。

 痩せてても口説いてたくせに。

 ああ、サル・シュくんとかリョウさんとかガリさんは、ル・マちゃんがいるから『細い女』を見慣れてるんだ?

 それでもやっぱり、太い方が『女』なんだ?

「ル・マー、いい乳でそうっ!」

「お前の子はうまねーっつってんだろっ!」

 もう、サル・シュくんのセクハラが凄いことになってきた。

 そう言いながらも、ル・マちゃん今生理中だから、抱えられて部屋に連れてかれた。

 さぁ、私も寝ようかな……

 この階段、手すりあってくれたらいいのに……

 え?

 目の前が、真っ暗っ! 私、倒れた?

 食べられちゃう?

 違う、口にナニカ突っ込まれたっ! 持ち上げられてるっ! ナニ? どうなってるの?

 えっ……?

 やめてーっ!

  

 

  

 

  

 

 

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