『ガリさんの時』みたいな、面倒くさい疲労感……
朝から。ちょっとイラッとする。
「ル・マちゃん、服着よう」
「なんで?」
「ここ、まだ敵のど真ん中だよ?」
「父上達いるし、どうせ出陣させてくれないし、ハルナといるーっ」
「じゃなくて……、ル・マちゃん、血の道始まるでしょ? はい、下着つけて」
「なんでそんなこと知って……」
サー……と、ル・マちゃんが青ざめた。
本当に、いつも大変だよね、かわいそうに。
「先見で見てるから、そういうの。ほら、ラクにしてていいから足上げて」
よいしょっ! てパンツ履かせて温石帯巻く。
座ってもらって服着せた。
あれだけ昨日暴れてたのが嘘みたいにクテクテしてるル・マちゃん。これはこれでかわいい。
「あら、ガリさん。おはよう。制圧行かなかったの?」
「昨晩行ってきた」
ああそっか。いつも皇子様どうにかしたあと、出てたもんね。最初のウチは、今日の朝も帰って来ないものだったのにな。
「今から行ってくる」
「……行ってらっしゃい。気をつけてね」
ふわふわって頭撫でられた。そのまま……キス。
え?
ディープッ!
だけだった。
ハッとしたときにはもうガリさんいない。
夢じゃないよね?
あれ? 私、リョウさんの女になったんじゃなかったの?
動くと体が割れそうに痛いから、アレ自体は夢じゃない、はず。
「はーいっ! ハルナ! ル・マ! 起きてるーっ?」
「ル・マちゃんはご機嫌斜め」
「ああ、知ってる知ってる。ハルナは?」
「別に、……私は、ご機嫌、どうもないよ?」
「お前も今日から血の道だろ? ル・マみたいに痛くないの?」
「え? なんで知ってるの?」
始まったのさっきだよ?
「俺、孕み日、においでわかるから。そういうのも、わかる」
そっか。
トスン、と私の隣に座り込んで、ニコッ、と笑う天使。
本当にサル・シュくんって美人ーっ!
チュッ、てキス、された。
え?
そのまま、頭を掴まれてディープっ!
あれ? なんで?
というか…………キスだけでイかさないでよっ!
胸もがっつり揉まれた。
あの男っ……いつもいつもいつもっ…………
なに考えてたっけ? あれ? ガリさんにキスされたの、本当に夢だった? あんなに『他の男に触られる』のを嫌がってたのに……
サル・シュくんも、いなくなってた。
なんだったんだろう……
ル・マちゃんも寝ちゃってるので、おなかに温石玉を寄せて、玄関に下りた。
そうだ、地図書かないと……
「リョウさん……車李(しゃき)の出陣、どうなった?」
「ガリとサル・シュとレイ・カが出た」
ああ、もう、出陣したんだ?
「眠そうだな、ハルナ。寝ていていいぞ」
「うんー………………ちょっと、したいことがあるから……」
地図、書いてるウチに目が覚めてきた。
もう、何回書いただろう、この地図。慣れたもんだよねー。
あと、いつもしようと思って後回しにしてた。羅季(らき)王城の城壁の修理を今からマキメイさんに頼もうとして、やめた。ここが攻められたことはあっても、あの城壁が役に立ったかどうかはわからないけど、壊されたんだから、直したいよね。
ってのは、たんなる見栄で、私が生きてた間に役に立ったことがないよね? タダでできるわけじゃないんだから、やめとこう。
「ナニを考えている、ハルナ」
「……何も……」
本当に今、何も考えてなかった!
ボーッとしてた。
朝から何回もイかされて……頭飽和状態。
あれって夢だった? 現実だった?
私、倒れてたらしい。
ル・マちゃん抱き枕で寝てた。
またあの三人来て、ディープキスでイかされた夢見た。
この状況で欲求不満なの? 私。
翌日、くてくてのル・マちゃんから、チュッてキスされた。
まぁ、かわいいキス。
私もチュッと返したら、エヘヘヘヘ……って、青ざめた顔でも笑ってくれた。
「ル・マちゃんかわいい」
「ハルナかわいい」
意味もなくクスクス笑い合う。
こんな女子会、気持ちいい。
『現代』だとすごく面倒臭くて、オタク以外の女子と一緒にいることなんてなかった。
なんていうのかな……ファッションと、男以外の情報が欲しかったんだ。
ゲームしたいときはゲームオタクの男の子のところ行ってたし、漫画読むときは漫画オタクの部屋行ってたし。
そうだよね……この世界来てナニが一番いやって……私、パソコンスキル、結構高かったんだよね…………それが、何一つ生かせないのが、きついし、面倒臭い。
キラ・シのあの地図とか、短冊とか、エクセル使ったら一瞬なのに。
でもまぁ、ペーパー工作とかで型紙書いた経験は、生かされてると思う。
やっぱり『リアルスキル』が一番役に立つよね。
絵を描くとか。
そういえば、ちょっと暇なときがあったから、あの時に、似顔絵でも描いてみようかな。多分、みんな喜んでくれると思う。
そうだ、キラ・シの武勇伝を絵物語で書いちゃうとか、面白いだろうな……私に、小説のスキルがあれば……
そうだっ! 琵琶法師みたいな人に、話して聞かせて、歌を作ってもらえばいいんだっ!
今回は、カタカナの書き方講習やったから、みんな自分で短冊作ってくれて、ヒマ。
いや、考えなきゃいけないことはいっぱいあるんだけど、とりあえず、生理終わってから。今はただ、寝たい……
生理終わったその日、ガリさんが夜、来た。
「え? リョウさんじゃ、ないの?」
「リョウに聞け」
この面倒くさがり屋っ!
凄い熟睡できた。
翌日はサル・シュくん。
「ねぇっ……なんなのこれ。なんでリョウさんとガリさんと、キミなのっ?」
「ん? あの時、三人同時だったから。三人でハルナを孕まして、当たった奴の勝ち!」
「は?」
珍しく、理路整然とサル・シュくんが説明してくれたけど、なんですって?
「大丈夫大丈夫、孕み日以外、三人一緒にはしないから!」
「ナニ怖いこと言ってるのよっ!」
このあと、本当に、じゅんぐりに毎晩三人が来て、孕み日に、三人が、いた。
念のため、って、そのあと三日三人で抱かれて、もう無理です……
今までで一番ハードだった……
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