【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。125 ~同時だったよな?~

 

 

 

 

  

 

  

 

 また、富士見台の家……

 マジで?

 どうやったらこのタイムループ終わるの?

 私は、何回殺されなきゃいけないの?

 90才ぐらいまで生きたのは初めてだったけど…………それでも死ぬの?

 そして、ココに戻ってくるの?

 どうしたら、いいの?

 また、富士山が、噴火、した……

 ゼルブは、味方じゃなかった……

 でも、あの様子では、サギさんは、味方、だった?

 私達を逃がしたから、息子のチヌさんに殺されたんだもの。

 サガ・キさんは、味方……だった? サル・シュくんだって、私達のために戦って死んだ。

 レイ・カさんも、味方だった。

 チヌさんは、ガリさんとサル・シュくんがいなければ、背くんだ。

 あの『契約』を『キラ・シの部族』としてしまえばどうだろう? 一人でも生き残っていれば、助けてくれる?

 わかってた、筈だった。

 ゼルブは、二人が居なくなったら背反する可能性がある、って。『最初のうち』にリョウさんに言った覚えが、ある。

 でも、あそこで来ると思ってなかった。

 留枝(るし)王家が滅びた瞬間、攻めてきたキラ・シに掌返しをした。

 ゼルブは、ああいう部族なんだ。

 ガリさんが生きてるウチに、サル・シュくんが生きてるウチに、もっと若いキラ・シと契約をしなおさなきゃ、いけない…………せめて、私と……

 でも、あれで、キラ・シは生き延びたと思ったのに……

 ナガシュのジャラード王子…………あんなのが、生き残っていたなんて……

 キラ・シは、敵部族の子供を自分の部族に引き取るから、子供を殺さないんだよね。

 この大陸でも、そうなんだ。

 だから、あの王子が生き残ったんだ。

 さすがに、戦のことは私も聞かないし、言ってくれないからなぁ…………

 それにキラ・シは、基本的に羅季語が喋れないし、ガリさんやリョウさんでも片言だし、ナガシュはナガシュ語で、羅季語がわからないから、意思の疎通はできなかったよね。まぁ、王族が戦禍を逃れるのは、古今東西あることだよね。

 ため息しか、出ない。

『俺と父上の子供がキラ・シを救う』

 ル・マちゃんのあの先見は、真実なのかもしれない……

 サル・シュくんとル・マちゃんの子では、ダメなのかも、しれない……

 前も、普通にしてるとあの二人、ラブラブになってた。一度、疎遠になったのは、サル・シュくんが黙って留枝に行っちゃったとき。

 あの時に、ル・マちゃんにガリさんを焚きつける?

 まだ、ル・マちゃんとガリさんの子供は、見てない。

 よし。

 今回はそれを目指そう。そして、先見がどうなるのか、確認しよう。

 私が死ねるように……

  

 

  

 

  

 

 そして、森の中。

 あ、あのにおい。キラ・シのにおい。

 今度はリョウさんかなガリさんかな………………レイ・カさんはそろそろ勘弁してほしい……

 後ろから、喉元に、蛮刀っ!

「……すげぇいいにおい…………」

 え? この声…………

 すっごい美少女が、左後ろから私を覗き込んでた。

 馬に乗っていないル・マちゃんが……

「おいっ! なんか凄いのがいるっ! 父上っ、リョウ・カっ、サル・シュっ! レイ・カっ! ちょっと来いっ!」

 うっわ……あっというまにキラ・シ上位が揃い踏み。

 この周りにこれだけいたんだ? まだレイ・カさんはいない……けど……あの人はやっぱり遠くにいるんだな……だから、彼が通りすぎたら、キラ・シが誰もいないんだ。

 馬の上から巨人に睨み下ろされて、怖い怖い怖い。

「何これっ! なんの毛皮? 髪か? ふわふわしてるっ! すっごい白いっ! やわいっ! なんだこの手っ! なぁ、見ろよっ! 爪がキラキラしてるっ! すげーっ! なんだこれっ、なんだお前っ! やわらかいっ!」

 後ろから抱きしめられて、揉みくちゃにされた。

「あれ? お前っ……」

 ブレザーとシャツを千切られて、ブラジャーを押し上げられた。

 ふっ……わっ……………っ!

 裸っ! こんなところでっ……裸に、されたっ!

「見ろっ! 女だっ! これ、女だっ! 女だろっ!」

「女だよっ! 女だよっ! やめてっ! いやぁっ! 助けてっ!」

 メッチャ胸揉まれたっ! 股間も触られた。スカートめくられたっ! パンツ下ろされてっ! 嘘でしょっ! そんなところ触らないでぇっ!

「俺のだぞっ! この女、俺のだぞっ!」

 なぜル・マちゃんがそんな宣言を? 本当に男の子なの?

「ル・マちゃんだって女の子でしょっ!」

「え?」

 ル・マちゃんが止まった。

 え? まさか、男の子なの? そこまでランダム?

「ル・マ、あとにしろ」

 これ、ガリさんっ?

「女。なぜキラ・シ語を話す」

 スカート下ろしてシャツを掻き合わせる。こんな……こんなことされたの……初めてよっ! 女のル・マちゃんが一番酷いとかっ、なにごとなのっ!

『最初』のリョウさんの時にこれされてたら、私発狂してたかも!

「……し……しらない…………けど、言葉は……わかり…………ます……」

 目の前が何度も真っ赤になって、凄い……目眩、……興奮しすぎた…………息が……っ!

「この女、目が回ってる。今は無理だろ」

 サル・シュくんの声…………

「寄るなっ! 俺のだぞっ!」

「わかったわかった。話はあとで聞くから。とりあえず、ガリメキア、まだ日も高いし、降りるだろ?」

 ちょっと……まだ、ル・マちゃんの手がっ…………

「ぁんっ! やめっ…………そんなとこっ……っひぃっんっ!」

 本当に? 本当にル・マちゃん男の子なの?

「痛い痛いっ! 痛いっ! ル・マちゃんっ痛いっ!」

「えーっ! なんでだよーっ!」

「ル・マ、その女は初めてなんだ。それ以上してやるな」

 リョウさんの声?

 こんなとこ、みんなに見られてる……助けてっ! やだっ! 怖いっ! 恥ずかしいっ!

「助けてっ、リョウさんっ! ガリさんっ! サル・シュくんっ! お願いっ! 早くっ……とめっ……て……っっっ! やぁんっ! もうやだぁっ! 見ないでぇっ!」

「ル・マっ!」

 全員の声が、かぶって、ようやくル・マちゃんが止まってくれた。

「なんで俺の名前知ってた?」

 はっ……はっ………………まだ胸揉まれてるけど…………さっきよりは、マシ……

「全員の名前を言ったな。女、なぜ知っている」

「先見……先見、する、から…………私…………見えてる…………お願い、ル・マちゃん…………もう、やめてぇっ!」

「ル・マ!」

 ガリさんの一喝。

 ムー……って、ル・マちゃんが唸った。

「その女から、離れろ」

「俺のだぞっ!」

「離れろ」

「盗る気だろっ! 俺から盗る気だろっ! 俺のだぞっ! この女は俺のだっ!」

「嫌がる奴に無理をするな、と、言ったな?」

 ガリさんが、左手でちょいちょいって、ル・マちゃんを遠ざけるように振る。

 ル・マちゃんが、初めて私の顔を覗き込んだ。

「あ…………ごめん………………」

 謝ってくれてるけど……なにが?

 もう全部がゆがんで水の中にあるみたい。

 手を離してくれたから、やっと服を整えられた。パンツ膝まで降りてるしっ! もうっ、みんな見てる前でパンツ上げるとか、ブラジャー直すとか! なにこの羞恥拷問っ!

「なんでじっと見てるのよっ! あっち向いててよっ!」

「なんで」

 サル・シュくんがまじめに言い返してきた。

「恥ずかしいじゃないっ!」

「ハズカシイ?」

「見られるのがイヤなのっ!」

「意味は知ってるけど………………よく喋るな、この女……」

「下の女はこれぐらい喋る」

「そうなの? 喋る女初めて見た! かわいい声だなーっ! もっと何か喋れよ」

 かわいいっ!

 サル・シュくんが馬を下りて、私の前にしゃがみ込んだ。

 うんこ座りして、膝に両手だらりと置いて、私でも殺せそうなぐらいのんびりしてる。まぁ、殺せないけど。これで一瞬で刀抜くもんな、サル・シュくんって、怖い。

「もっと……って、言われても………………」

「何か先見しろよ」

「先見…………」

 何を言ったらいいだろう?

「あなたたちはキラ・シで、女の人を求めて山を降りてて、このまま降りると羅季(らき)城に出るから、そこで戦争している覇魔流(はまる)軍と羅季軍を一掃して、羅季城に居すわる……とか?」

「半分合ってるけど、半分が、先見? ラキジョウ?」

「『下』にある部族の名だ」

「リョウ叔父が知ってるの? 本当に先見?」

「そこで、ガリさんが『山ざらい』を出すときに、斜面に合わせて刀を振ったら、全員さらえるよ……」

 ガリさんの息が止まってる。目が見開かれた。

 右側を見て、リョウさんを見て、私を見て、もう一度右側を見て、リョウさんを見て、私を見て、小さく頷く。馬のツノを持ってた手がちょっと動いてた。

「名前は?」

 ガリさんが、ようやく聞いてくれた。

「春菜」

「ハルナ」

「ハルナ」

 リョウさんとサル・シュくんが復唱する。

「俺のだぞっ! ハルナは俺のだぞっ!」

 ル・マちゃんが吠えてるけど、何も聞いてない感じで三人が目を見合わせて頷き合ってる。ナニ……?

「ル・マの次に、誰が最初にここに来た?」

 ガリさんが、私に、聞いてる?

 ナニソレ……

「俺のだって言ってるだろっ!」

「お前では子を産ませられん」

「先見できる女の、子は貴重だ」

「同時だったよな?」

 サル・シュくんが私にねじ込んでくる。

「レイ・カはおらんな」

 リョウさんまで…………

「ル・マっ!」

 ル・マちゃんが、自分の名前叫んだ。走ってきた馬に私を乗せて、走り出す。うっ……わっ! スカートのベルトで持ち上げられてっ……おなかが千切れそうっ!

「ハルナは俺のだからなっ!」

 いや……ちょっとまってっ! 馬に、横に腹這いとかっ! 腰を押さえてくれてるの、ル・マちゃんの左手だけっ?

 崖がっ……!

  

 

  

 

  

 

 

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