【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。137 ~物凄い理性~

 

 

 

 

  

 

  

 

 富士見台の家……

 せめて雅音帑(がねど)王に噛みついてやりたかった。

 今回はキラ・シを、守る。

 情報は全部出す。とにかく、生き残らないと!

 私だって、キラ・シなんだから。

  

 

  

 

  

 

 また森の中。

 この木もさすがに覚えたね。丁度目の前に大木。右側に、垣根みたいなこんもりした柊。その影に私。

 地面はふかふかの落ち葉がいっぱい。

 ふわっ……見るんじゃなかった…………

 虫がいっぱい居る。

 そりゃいるよね。森だもんね。

 今まで必死で気づいてなかった。

「だーれだ?」

 地面見てたからか、においに気づかなかった。

 私の右側に、凄い美少年が、ヤンキー座り。

 膝に手を当てて、地面を見てた。

 そして、私を見て、にっこり!

 思わず私もにっこり。

 というか…………今回サル・シュくんっ!!

 年下もあり? というか、完全ランダム? たしか、年下だったよね? サル・シュくん。15才って…………私が犯罪じゃないの? 別に、古代だからいいんだろうけど……良心の呵責がっ!

 武器を突きつけられなかったのは助かったけど、なんでこんな最初から気を抜いてるの?

「俺はキラ・シのサル・シュ。どこの誰?」

 あ、先に名乗るいい子!

「…………どこかわからないけど、春菜です」

「ハルナ? どこかわからないってどういうこと?」

「……気がついたら、ここにいたから……」

「部族は?」

「…………日本」

「ニホン? ニホン部族? 聞いたことないな」

 だよね。

 サル・シュくんは突然殺さないと思うけど、レイ・カさんの例があるからなぁ…………ここで先見をして良いもんだろうか?

「ヒャッ!」

 足元に、蛇がっ!

「毒はない、大丈夫。小さいし」

 確かにサル・シュくんの親指ぐらいの太さだけどっ……

「大丈夫じゃないよ…………怖いよ……っ!」

「そうなの?」

「そうなのっ…………早く、どうにかしてっ……」

「食べる?」

「蛇をっ? 食べないよっ!」

 パァンッ、て、サル・シュくんが蛇の頭を裏拳で吹っ飛ばした。

 やっと、息が、つけた……と思ったら、サル・シュくんが……私の、肩というか、首というか、顔を埋めて、くんくん嗅いだ!

 舐められたっ!

「ふぁっ!」

 喉から耳までっ! 頭、抱えられて……キスっ! しかもディープっ!

 その間に、膝に抱え上げられて、足っ! 内股っ撫で上げてきてっ! ちょっと待ってっ! その先っダメっ!

「何をしている。サル・シュ?」

 リョウさんの声っ!

「リョウさんっ! 助けてっ! サル・シュくん止めてぇっ!」

「え?」

 サル・シュくんが顔を上げた。手も、咄嗟にスカートを足に巻き付けてくれる。

「まさか、リョウ叔父の女っ?」

「どこに女がいる?」

「こいつ」

「知らん」

 リョウさん正直!

 サル・シュくんがすっっっごい溜め息、ついた!

 ここでサル・シュ君なら、とっさに『俺の女』って言いそうだよね。

「これ、俺の女っ!」

「わかった……が、今にも死にそうだぞ」

「ちゃんと元気」

「なぜそう思った」

「元気!」

 相変わらず答えになってないっ! そりゃ、私はまだ元気だけどっ……

「……今、リョウ叔父呼んだよな?」

「そう聞こえたな」

「ハル、どこでリョウ叔父を見た?」

「え……あ…………先見を……する、から…………私…………見えた、の、名前が」

「先見っ! 他に何が見える?」

「……え………………キラ・シの族長がガリさん、副族長がリョウさん、三位がレイ・カさん、四位のサル・シュくん、五位のル・マちゃん、六位のショウ・キさん。山から戦士を集めて女の人を求めて山を降りてる最中で、これから羅季(らき)に向かって、ガリさんが『山ざらい』で全滅させて、サル・シュくんがシャンデリアを避ける」

「半分わかんないけど、半分合ってる」

「ラキは、これから行くところだ」

「じゃあ、後ろやっぱり先見! 初めて聞いたっ!」

 ヒュウッ! って、サル・シュくんが軽く口笛吹いた。

「俺のっ! ハルは俺のだぞっ!」

「わかったと言っている……ああ、ガリッ! サル・シュが女を見つけた。なぜこんなところにいるのかわからんが、先見をする」

 サル・シュくんが自分の馬を呼んで、私を乗せてくれた。サル・シュくんの馬は小柄っ! またがった感覚が違うっ! うわ、足がそこまでつらくないっ! ラクッ! ああそっか、あの足の筋肉痛って、足を広げすぎてたからなんだっ? この馬でも筋肉痛にはなるだろうけど、リョウさんの馬より絶対軽いわ、筋肉痛っ! 良かった!

「降りるまで抱くな」

 ガリさんが、私を見て一言。

 自分は散々やったくせに!

「大丈夫、孕み日じゃないからっ!」

 サル・シュくんも元気よく答えた。

 さっきの、それ調べてたんだっ!

「抱くな」

「えー……」

 ガリさんが行っちゃった。リョウさんも走らせようとして、サル・シュくんを振り返る。

「追いつくから、行ってて!」

「抱くなよ?」

「早く走らせたら、こいつ折れそうだろ?」

 眉を寄せたリョウさんが私を見てサル・シュくんを見て、私を見て、溜め息。

 言っても聞かんよな、こいつは……って色が出てるよリョウさんっ!

 もっと積極的に止めてほしい……

「夜までに追いつくからっ!」

 リョウさんも行っちゃった。

 めっちゃ胸揉まれてる私……またクンクンされてる。

「いいにおいすんな、ハル」

「そ……そう……?」

「この時期に知らない花が咲いてる、と思って気づいた」

 花? 多分、シャンプーのにおいだろうな。フローラル系だった。

「なぁ? これ、なんか薄いの。すぐ脱げる?」

 胸の谷間のシャツをひっぱられた。

 もう、あきらめてはいるけど……遠慮のない腕だな、本当に……

「え? 脱げる…………けど……」

「じゃ、脱いで?」

「え?」

「脱いで」

「なんで?」

「脱いでほしいから」

 だから、説明になってないって。

「やだって言ったら?」

「破っていい?」

「脱ぎます」

 山の中、歩いてる馬の上で全裸とか……

 リョウさんって物凄い理性強かったんだなぁ……

  

 

  

 

  

 

 

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