気がついたら、たき火の側で寝てるサル・シュくんの上で、私が寝てた。
「もう少し寝てろ……」
めっちゃお尻揉まれる。なんか全身ジンジンしてる。
え? そう言えば私、服は?
なんか、動けないよ?
まぁいいや……とりあえず、寝た。
寝ないとやってけないのは分かってるから……
朝。ってまだ、全然辺り見えないけど、キラ・シは朝が早いから、みんな起きてごそごそしてる。
サル・シュくんが起き上がってくれたから私も膝に座らされて、ようやく事態が分かった!
服の着せ方がわからないから、とりあえずかぶせて、蔓でぐるぐる巻きにされてたっ! 袖も通ってないしっ! これっ、拘束服みたいになってる! なんかつらいと思ったら、腕が全然動かないからだ。あちこち痺れてる……ちょっと……ずりずり動くぐらいには緩いけど……
「パンツは?」
「これ?」
懐から出してきてくれた。人肌のぬるいパンツとブラジャー……ウウッ……豊臣秀吉が草履を温めてくれたようなありがたさは……ないな………………。
膝に座ったままパンツとスカート履くって、凄い難しい!
しかも、ル・マちゃんとかガリさんとかリョウさんとか、みんな見てるしっ! なんの遠慮もないしっ! ル・マちゃん、ブレザー持って行ったっ!
「サル・シュくん……みんな、先行ってもらって?」
「ナニ? またシタイ?」
「………………………………シタクはないけど……見られてるのがいやなの」
「ふーん…………」
首筋に顔を埋めてクンクンされてる。それやめてほしい。
リョウさんが号令掛けながら行っちゃった。それに合わせてみんな駆けて行ったのに、ガリさんとル・マちゃんが残ってる。
「なんで、ガリさん行かないの?」
「どうやって着る」
そこかー…………
ガリさんは、ブラジャーつけるところが見たいんだ? 知らない服だから。
「サル・シュくん…………シテいいから、行ってもらってくれない?」
ニャハッ、て、本当に嬉しそうに笑う。クソッ……かわいいっ!
嘘みたいにかわいい!
今までもサル・シュ君、かわいかったけど、桁違いにかわいいっ!
ナニ?『俺の女』だから?
こんな顔、ル・マちゃんに見せてたってこと?
うわぁ……
なんか、私の人生に花マルついた感じ。
まだ太陽登ってないのに世界が輝いてる!
サル・シュ君が一番輝いてる!
「俺のだから見せなーい。族長、先行って?」
「……抱くな。女の体に悪い」
「抱いてないよっ! ホントホントっ!」
自分は毎晩抱いたくせにっ! あの時、ナニ考えてたのよ、ガリさん! 私の体に悪い、って知っててアレしてたの?
「証拠は?」
「はい」
ヒャッァッッッッッッッ!
私の足開いて、パンツずらしたっ!
メッチャ、マジマジと、ガリさんに、見られた。
ブラジャーつけるの見られた方がマシだったよっ!!
「早く来い」
ガリさんも、ル・マちゃんを連れて行ってくれた。納得したらしい。
たき火の後始末しない原野に二人と馬一頭。
「そう言えばキラ・シって、たき火の後始末しないよね?」
「戦の時はたき火しない」
「敵がいなかったら、たき火見られてもいいってこと?」
「うん。大体、ここらへん誰もいないし」
そっか。見られていいなら、始末しないんだ? まぁ、そうか。
ぎゅうぎゅうされるから、その腕の中でブラジャーつけて、シャツのボタンはめる。難易度高いな。なんでこんな、『服を着る』なんてことがこんな難しいの。
「私、本当に、サル・シュくんに抱かれてなかったんだ?」
「疑ってたのーっ? ひどーいッ! ひどーいっ!」
『現代』じゃなくてもギャルって居るんだなぁ……
「だって、あれだけして、してないっておかしいと思った……から……」
確かに筋肉痛は、『リョウさんの時』にもあった、乗馬のためのものだけ。……うーん……首回りが痛いな。ずっと後ろからキスされててのけぞってたからかな? 縛られてるのもあるだろうし……節々が痛い……
「するなって言われたし。しないよ」
ガリさん大好きだもんね。でも、その『一点』だけ以外も守って欲しかったなー……
「しなーいよ?」
ニャハッ、って笑う、サル・シュくん。かわいい……
キラ・シって男の人ばっかりなんだから、そういうしぐさが『女の子の真似』ってわかってやってるんじゃないだろうし、なんでサル・シュくんってたまにギャルなの? ああ、『子供のフリ』なのかな? でも、キラ・シの子供って、『現代』の子供みたいな、子供子供してないんだよね。唯一の女の子のル・マちゃんも、絶対こんな口調にならないのに。
「ナニ?」
「サル・シュくんの、その、かわいい駄々のこね方とか、どこで身についたのかなーって」
「え? ダダ? こねる?」
そっか、子供にわがまま言わせないから、そういう言い回しもないんだ?
今のうちにささっと服を着てしまった。
「ひどーいっ! とかの、甘えた言い方」
「そんなとこ見てたのか? ナニ? 先見で見えないの?」
「私が居たことしかわからないから」
キョン、とサル・シュ君の目がまんまる。ホントかわいい。
「それは、この先、ハルがいるような時だけってこと?」
「うん。私が聞いたとか、見たとかじゃないと、」
サル・シュくんが、すっごい、安心した顔をした。
私の見てないところで凄いことしてるんだ?
まぁ、そうだろうね。なんか、想像はつくよ。鮮明には想像しないけど。別に、『今まで』支障なかったから、かまわない。考えたくない。
ようやく馬に乗せてくれた。
後ろにサル・シュくんが乗り上がる。馬を歩かせだしたら、サル・シュくんが、私のシャツのボタンを下から外して行った。私が着てるの見て覚えたんだっ! 早いっ!
「何してるの?」
「シテいいんだろ?」
ファッ!
リョウさんっ! リョウさん、あなたの理性は本当に凄かったっ!
けっこう、『ガリさんの時』みたいに失神してて、たき火で食事してないことが多かったけど、『先見できる』って前情報があるから、たまに喋ったときにいろいろ話ができた。
羅季(らき)城では案の定、ガリさんが『山ざらい』一発で全滅させて、シャンデリア落とされて、皇帝は死んで……うん。ここまではもう全部見た。
違ってたのは、お風呂に無理やり、サル・シュくんもついてきたこと。いつも女官さんに止められて外からドア叩いてたのに。
そして、今回、ル・マちゃんは触ってこなかった。
『サル・シュの女』は『父の女』より遠いんだね。
それはいいんだけど、サル・シュくんのドアの叩き方が『今まで』と違うっ!
「ハルッ! 押さえてる奴らっ、ブッ殺すぞっ! 開けろっ!」
コメント