【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。153 ~122才まで生きた。

 

 

 

 

  

 

  

 

 私は、122才まで生きた。

 この古代の地で、生き神扱いされた。

 36人子を産んで、子孫はもう七代目。各国に数万人が、散った。

 今回以上の人生なんて……ある?

 ガリさんの、ル・マちゃんの望みも叶ったよ。

 ル・アくんの望みも叶ったよ……

 キラ・シの名前は無くなったけど、『キラ・シの子』は何百万人になったよ……

  

 

  

 

 アハハ……

 今回は、誰だったかな。

 最初の旦那は、誰だったかな……

 でも、思い浮かぶのはリョウさんだけ……

 ねぇ……リョウさん………………

 私、がんばったでしょう?

 リョウさんの、最後の子も、凄く生きたのよ? 誰だったかな…………名前……わかんない…………あなたに凄くよく似てたの。

 ずっと私のそばにいてくれたのよ?

 先に……死んじゃったけど……

 私、富士見台の家まで良いもの食べてたし、予防接種も受けてたから、伝染病でも生き残ってしまったの。天然痘らしいので生き残ったから、神様扱いされたわ。

 天然痘ワクチンって、私の一つ前の生まれの人は打ってないのよ。天然痘は撲滅された、って言われてたから。でも、研究所には残ってて、それがテロに使われたの。だから、全世界でもう一度、旧型と新型の天然痘ワクチンを打つようになったのね。多分、新型だけだったら、ここで私は死んでたと思う。旧型のも打ってもらえたから、多分助かった。海外旅行にいく前にもいくつか打ってたし、本当、薬づけなのね、私の体。

 だから、元気なの。

 だから、長生きしたの。

 リョウさんの武勇伝をずっと話して聞かせたのよ。

 強い戦士になったわ。

 私、よくやったでしょう?

 もう……いいよね…………

 あなたは地面に埋められたと聞いたわ。

 キラ・シの『その世』に行ったって……

 だから、私も、埋めてもらう。

『「その世」は一つだ。必ずル・マに会える』

 ガリさんが、そう言ってたから……

 キラ・シみんなで、『その世』で会いましょう。

 リョウさん………………愛してた…………ずっと、愛してる………………

  

 

  

 

  

 

「ハルナっ! バイクは危ないから気をつけなさいよっ!」

 母さんが久しぶりにバイクについて文句を言った……と思ったら、ベンツに追い駆けられた。ナニナニナニ!

 メッチャあおられてるっ! クラクション鳴らされてるっ! 母さんの言うこと聞いて、歩いていけばよかったかもっ!

 ああ、いやっ、ちょっと…………前に回り込まれて、ブレーキせざるをえなくなった。危ないなぁっ! って……リムジンじゃないっ! ベンツのリムジンっ! 長(なが)!

「ヒャッ……」

 後部座席から大きな人が出てきたっ!

「お前っ、キラ・シ人だな!」

 ひげもじゃの…………レスラーかってぐらい……でかい人…………絶対ボディーガードだよっ! なに? ゼロハンでこんなトロトロ走るなとかいいたいの? だって、旬報速度だよ!

 え? ナニ? キラ・シ? ナニ? キラ・シの博物館は行ったよ? 私、民俗学好きだから、自分のルーツ知りたいし、私もキラ・シ人だし。キラ・シ研究第一人者のナール・サス教授の本も全部持ってるし…………教授のいる大学に行って研究室に入りたいから猛勉強中だし……

 ても、ナニ? 私、こんな人に追い駆けられるいわれ……ない…………

 大きな、熊さん…………

 サングラス外しても怖い目の、熊さん……!

「ハル? ハルだろう?」

 どうみても危ないダブルの黒服の熊さんが、私の名前、呼んだ。

 私ハル・ナだから、たしかに親にはそう呼ばれるけど、女の友人でも『ハル・ナ』呼びだよ。

 アレ?

「リョウ……さん……?」

 なんで名前、知ってるの私。

 誰? 私の知り合いにそんな人いないよ?

 いない……けど、知ってる…………

 山の中で、私に、刀突きつけた……あの、リョウさん……?

「リョウさんっ! えっ! キラ・シのリョウさん?!」

「そうだっ! キラ・シのリョウ・カだっ! 俺も今思い出したっ! バイクで走っているハルの後ろ姿を見て、思い出したのだっ!」

 何これっ! 今まで知らなかった記憶が出てきたっ! うわっ、120才まで生きた私すごいっ!

 ああ、そうか。

 あの時代に死んで、あの世界の未来に、生まれ変わったんだ?

 ほんとに?

 もう、富士山爆発は、しないの?

 あの歴史を繰り返さなくてもいいの?

 私はもう、地図を描かなくても、いいの?

「ハルっ! 避けろっ!」

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 なに?

 ココ、富士見台? なんで?

 さっきリョウさんが目の前に………………

 地震……

 また……、富士山が、爆発、する……

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 またあの森の中。

 なんだったんだろう?

 あれは、未来、だった?

 たしか、あの時期は、2895年12月15日……だった、筈。

 推薦受験の寸前だった。

 未来、だったよね?

 あの世界の地図には『キラ・シ国』が、あった。

 太平洋に『羅季(らき)大陸』が、あった。

 というか、『太平洋』がなくなってた。

 ほとんど地球だった。

 この世界の、未来?

 この世界が、紀元前だよね? 今から三千年ぐらい経ったら、ああなるの?

 キラ・シが、国を持つほどに?

 しかも『騎羅史』じゃなかった。『キラ・シ』だった。

 あの時の私、『キラ・シ人』だった!

 あれは夢? 妄想?

 それとも、本当に、この世界の、未来?

 どうやってあそこに行ったの?

 あの時初めてだったこと?

 老衰?

『事故死、病死、他殺』じゃ、なかった、から?

 老衰したら、未来に、いけるの?

 それに、あれは、リョウさんだった。

 たしか、ダンプカーが突っ込んで、来た?

 気がついたときにはリョウさんの右手を抱きしめてた。

 リョウさんは、あっちに転がってたのに。

『事故死』したから、富士見台に帰って来たんだ?

 富士山が噴火したんだ?

 もしかして、『未来』で老衰したら、その未来にいけるの?

 それとも、『キラ・シは残ったよ』っていう、確認?

「なんか凄い、……これ、花のにおい?」

「花かなー」

 獣のにおいと、声。

 これ、誰? 子供の声?

 二人っ!

 これ、もしかして……

「はい!」

 左側に、サル・シュくんがかがんで、私に手を上げてた。

  

 

  

 

  

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました