「え? ガリさんが、私に? ナニ? キャァッ……アハハハッ……やだっくすぐったいよっル・マちゃんっ!」
あちこちなでなでなでって触られた。
「凄い……ハル、どこもかしこも柔らかい…………多分、父上、それに感動したんだと思う。父上があんな、同じ女何度も抱いてるの初めて見たもん」
「え? そうなの?」
ただの女好きじゃなかったの?
「父上な、子作り好きじゃないんだぜ?」
それはウソでしょ。
「女館入れるの、十日あって、他のやつらはずっと入り浸ってるのに、一日で出てくるもん」
あのナンパ族長さんが? 前も、毎日10人ぐらいベッドにいたよ?
「私、だって、ずっと抱かれてたよ?」
「ああ……うん、だから、おかしいな……って、前は、面倒くさい、って言ってたんだ」
面倒臭くて十人侍らせないでしょ。
多分、娘には見せてないだけだと思う……って、ガリさんのベッドシーンでル・マちゃん寝てたしなぁ……『してない』って思い込んでるわけでもないんだよね。なんなんだろう? これ。
お風呂の中で、ル・マちゃんに抱きしめられた。
「ハル……こうしてるだけで気持ちいー」
背中なでなでされてる。
ああそうか……『父上の女』だから、ル・マちゃんからすると身内みたいなもんなんだ?
元から、側に女がいるってだけでも違う上に、似た年齢だし、私のほうがおねぇさんだし、今なら、『父の妻 俺の母』扱いかもしれない。いや、母はないか。母扱いされても困る。
でもとにかく、『リョウ・カの女』は他人だもんね。一応、『(血)筋が違う』ことの区別はあるんだ?
よかった、ル・マちゃんと仲良くなれて。どうしようかと思ってたんだよ。
「おーいっ、ル・マー、なにやってんのっ! 入れろよーっ!」
女官さん三人が押さえているドアを、サル・シュくんが叩いてる。
入れてあげたら、バチ、と目があった。
その瞬間、サル・シュくんが一歩引いてあっち向く。どういう反応? それ。
「どうしたサル・シュ」
「ル・マっ……裸だろそれっ!」
「サル・シュも裸で入れよ、気持ちいーぞーっ!」
「入るのはいいけど、ハルは出せっ!」
「私?」
「族長の女の裸なんて見たくねーよ! 抱きたくなったら殺されるっ!」
そっか。こっちも『リョウ叔父の女』は半分身内だったんだ? ああっ! だから、馬から落ちたとき、あんなことしてまで助けてくれたんだ? ……あの時なら他の女の人でもするとは思うけど、『近い筋』ってのは、あったんだ?
もうちょっと入ってたいんだけど、今、お城にいるキラ・シ全員入ってもらうためには、ここでサル・シュくんを早めに入れておかないといけない。
「ル・マちゃん、サル・シュくんが入ろうとしたら、さっきの『かけ湯』するんだよ?」
「おうっ! 壁にぶつかるまで掛けてやるぜっ!」
「で、リョウさんも入れてあげて?」
「なんで?」
「お風呂出たらわかるけど、ル・マちゃんが綺麗になったから、キラ・シのくさいのがわかると思うよ。みんなお風呂入ったら綺麗になるから」
「ふーん…………それは、また、その時にな」
「大丈夫。絶対くさいから」
私だけ先に上がって服を着せてもらった。
う、クサイ! キラ・シ、くさい! 物凄くくさいっ!
「マキメイさん、もうちょっとでキラ・シにお風呂、入ってもらえるからね。ごめんね」
「あ……はぁ…………そうですか。ありがとうございます!」
泣いてまで喜んでくれてる。というか、くさくて涙が出る。ホント。
マキメイさんに生理用品の用意を頼んだ。多分、ル・マちゃんも私もそろそろ始まるはず。
「ハルナ様、申しつかっておりました、温石を帯にするアレですけれど、試しにしてみたら、凄く気持ちよくって、わたくしどもも使わせていただいてよろしいですか?」
「どうぞどうぞ。あれ気持ちいーよねーっ! 月のものの痛みも、凄くマシになるよ! あと腰痛とか!」
「腰痛もでございますかっ!」
よっし、マキメイさんのハート、重ねてゲット!
リョウ叔父ーっ! って、下の方でサル・シュくんが走り回ってる音がする。
「みんな、お風呂入ってもらえそうだ」
「……本当に、ようございました!」
マキメイさんもニコニコ。
「あ、そうだ。キラ・シの男の人達は、食事、勝手に獣狩って来るから、陛下用の高級な豚とか鶏とか、出さなくていいからね? 私達にだけ出して」
「そ……そんなことをして、大丈夫ですか?」
「肉が足りませんって言ったら、取ってきてくれるから。それを料理して。味付け薄めでね。好きにさせたら勝手に焼いて食べるし、彼ら」
「はい……承りました」
「それと、移動するかもしれないから、身の回りのもの、集めておいてね。パッと出られるように」
「私どもも、一緒に、この城を出るのですか? あの方々と?」
あ、この時点ではマキメイさん、まだサル・シュくんの恋人じゃないんだ?
あれ? 夜しかしないなら、今日このお城を発ったら、キラ・シは誰一人彼女たちを抱いてないよね? なら、ついて来ないかな?
でも、そうしたら全員殺されちゃう? リョウさん、女の人は殺さなかったけど……どうだろう?
「移るときは希望を聞かれると思うから、その時でいいよ」
「……はい…………」
そうだよね。私とマキメイさんの友好度も、まだそんな高くないもんね。
お風呂の確認に行ったら、とりあえず、キラ・シの人達が交代で入ってるみたい。よかった。
ル・マちゃんが駆けてきた。
「ハルッ! ここにいたのかっ! ちょっと寝ようぜっ! ……ふぁああぁあああっっ……眠いっ」
全然眠そうじゃないのに。
全裸のル・マちゃんが私の手を引っ張って、どこかの部屋に入る。前とは別の部屋だ。
「これ、脱げ」
「え?」
「わしゃわしゃする」
寝間着脱がされた! 胸揉まれた!
「これナニ?」
「下着、引っ張らないで! ……血の道が今日あたりくるから」
「ナニ?」
生理用パンツを説明する。
「……そんなのするのか…………でも、毛皮汚れなくて済むな…………俺もそろそろだし……」
「面倒だよねぇ」
「ホントにな…………ぁ……」
ル・マちゃんの顔からみるみる血の気が引いて行った。握ってた手が、スーッて冷たくなっていく。
「来た……」
とたんに、ぷわぷわ飛んでた風船の空気が抜けたみたい。
くて、とル・マちゃんがベッドに横になった。
「ル・マちゃんのも用意してるよ。はい、履いて?」
「ふん…………」
もう、なすがまま。下着に足通してくれる。腰に温石帯を巻いて、裸で毛布にくるまって寝た。
起きたら、目の前にル・マちゃん。天使の寝顔。あー、かわいーっ!
あれ、抱きしめられてるのかな……うごけ…………ない…………
後ろから私の肩に黒髪。しかも、玉飾りついてる……ル・マちゃんの髪は、飾りなかった筈……大体、ル・マちゃんは私の目の前。
「ガ……リ、さん……?」
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