【赤狼】女子高生軍師、富士山を割る。93 ~『キター!』感~

 

 

 

 

  

 

 うっわ……目覚め一発でガリさんと目が合うとか……心臓止まりそう。

 メッチャ後ろから抱きしめられてたっ!

 首をひねられて、かぶさられて……二十分ぐらいキスされた。

 胸とかおなかとか腰とか、揉まれる揉まれる……意識なくなった……

 なんでこんな、キスうまいの?

 ル・マちゃんが隣にいるとか……もう、どうでもよくなった。

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 起きたら目の前にテーブルがあって、食事が並べられてた。

 とりあえず、服を着て、トイレ行って、食事。ベッドのほうがあったかいから、ベッドに座ったまま食べられるようにセッティングしてもらった。

「あら、そうですわね。椅子に布を置くより、寝台に座った方が暖かいですよね!」

 マキメイさんも手を打ってた。

「あー、これはお行儀悪いから、おすすめはしないけど、でも、あったかいよ。確実に。今はもう、行儀とか考えたくない……」

 キラ・シ相手に行儀よくしても仕方ないし。

 こうやってダメ人間になっていくんだな……と思うけど、気力が持たないわ。

 疲れた。

 なんか、凄く、疲れた。

「ハルナ様はなんでもご存じでございますね」

「冷えると私がつらいからね」

「そうでございますよねぇ……本当に…………この温石帯は、もう、本当に助かりました。ありがたいことでございます」

 マキメイさんもしてた。

 小さい石だとすぐに冷えるけど、暖炉に入れておけばいいから、交換も簡単だし、いいよね。私も、貼るカイロの替わり見つかってよかった!

 そういえば、ガリさん居た気がしたけど…………夢?

 だってあの人、いつもこの時期、駆け回ってたよね?

「おうっ、ハル! 起きたかっ!」

「おはよう…………相変わらず元気だね、ル・マちゃん……」

 服着てるし!

 サル・シュくんたちが着てたような白い下着だけど、着てる! 腰に温石帯して。でも足は丸出し。シルエットは、別に太くはないけど、足の筋肉凄い……そりゃ、あの鐙の無い馬に乗るんだもんね……脚力化け物じゃないと投げ出されるよね。体脂肪率10%ないよね?

 それでいうと、サル・シュくんとかガリさんは体脂肪率一桁だよね。

 山下りの最中、なんか、私の口にも木の実突っ込むけど、自分も常に食べてた気がする。そうじゃないと筋肉がなくなってくんだよね。

 科学的にそういうの知らないはずなのに、ちゃんとやってるんだなぁ。

「あれ? 昨日生理始まったばかりでしょ? なんでそんな元気なの?」

「この帯、すっげーっイイッ! 全然つらくないっ! 馬に乗ったらきつかったけど、いつもより凄くいいっ!」

「それはよか……」

 その後ろから、ガリさん登場!

 ファッ……

 全然気付かなかった。

 気配、消してくれてる?

 よかった! そういえば、怖かったの最初だけで、あの『キター!』感は、山の中でもなかった……かな? いつも抱かれてたから全然わからなかっただけかな? それとも私が慣れただけかな?

 というか、やっぱり羅季(らき)に居たんだ? なんで? 前もいたときあったし、これもランダムなのかな? 歴史ってランダムなの? 未来だからか? あれ? ココ、『過去』だよね?

 マキメイさんが一礼して出て行った。

「ル・マを助けてくれた。ありがたい」

 これは、毎回必ずお礼言ってくれるの、ガリさん。けっこう細かいよね。そう言うところ。

 ベッドの私の隣に座って、スープを飲もうとした私の、顔を引き寄せて、キス。

 ガリさん、なにげにキス魔だな。首とか腕とか、服の下からめっちゃ撫でられた。

「しばらくここにいる。ゆっくりしていろ」

「え? 川向こうにいかないの?」

「……他の戦士は行ってる」

「ガリさんは?」

「夜は帰って来る」

 そっか……じゃあ、羅季脱出もなさそう。これは、安心して寝てていいかな。

「あ、ガリさんっ! あの黄色い河っ、浅いから、渡れるよ! 敵が渡ってこないように、見張りっ! 入れてね!」

 ガリさんがちょっと目を丸くした。

 頷きながら出ていく。

 なんかガリさんが、すんごい…………最初から友好度高いモード!

 って、そりゃそうか。

 リョウさんに見つけられた時は、リョウさんがこれぐらいだった。そっか。『俺の女』だからか。そりゃそうだよね。

「ル・マーっ! 甘い栗見つけたっ!」

 サル・シュくんが来た。相変わらずマメだなー。

 ル・マちゃんが私の隣に座って、私のスープ飲んでる。女官さんが、私の分のスープをまた持ってきてくれた。

 サル・シュくんは開いたドアの外に立ってる。入って来ない。

 ああそうか。『族長の部屋』なんだ? ココ。

 そう言えば、サル・シュくんも服着てる。

 あっ! ガリさんが着てるからだ?

 前は、ガリさんがいなかったから、リョウさんが指示しないと着なかったけど、今はガリさんがすぐに服着たから、真似してみんなもすぐ着たんだ? ガリさんってそう言えば、あんまり肌、見せないよね。前も一人だけズボン履いてたし、手袋みたいなのしてたし。

 そう言えば、ガリさんとかサル・シュくんは『白い』から、色々弱いって言ってたな。サル・シュくんが物凄い白いから、ガリさんはそんな白いとは思わないけど、リョウさんよりはたしかに、凄く、白い。

 リョウさんはほら……アンデスの山の上の人ぐらい、焼けてるんだよ。東南アジア系ぐらい、焼けてる。他のキラ・シもそんなものなのに、ガリさんやル・マちゃんはうす黄色いままで、サル・シュくんは白いんだよね。

 あの、ガリさんの長男さんはリョウさんみたいに黒くて熊さんだけど、次男のシル・アさんはサル・シュくんより白くてひょろっとしてて、ヒゲが無い。男性ホルモンが少ないんだよね、あれって。

 多分、近親結婚で血が濃いから、色々、不都合が出てるんだ。白い人は特に短命だとも言ってた。

 そう言えば、サル・シュくんも、ズボンみたいなの履いてる。ガリさんがそうだったからだ。

 前は、ズボン無しを先に着たから、ガリさんがズボンを履いても、みんな着なかったけど、今は最初からズボン履いたから、それはそれでいいんだ?

 そりゃ……リョウさん、なんか、悔しいよね。ここまで族長と副族長で扱い変えられたらね。

「暑くない? サル・シュくん」

「これ、毛皮よりすんごい涼しい。よくあんなの着てたよなーっ!」

 そりゃ、毛皮よりは涼しいけど……前はズボン穿くのも嫌がってたのに。

 それに、まだ入っては来ない。

 ル・マちゃんも、受け取りに戸口に行く気配がない。ズズ……ズズ……って、熱いスープすすってる。

 この、ル・マちゃんの、サル・シュくんに対する横暴さも凄いよね。絶対嫌わないって分かってるから。

「サル・シューっ!」

 階下から誰かに呼ばれてる。

 あー、もう、って感じでサル・シュくんが地団駄踏んだ。食器を下げに着た女官さんに栗を渡して、降りてく。

 ル・マちゃんに指一本触れなかった。

 族長筋にはあんな行儀いいんだ?

 ル・マちゃんと私しか部屋にいないのは前と一緒なのに、ガリさんの部屋、でもあるから、入らないんだ?

 ル・マちゃんが、私の腕を抱きしめたまま、くちびる尖らせてた。だよね。サル・シュくんが遊んでくれないんだもんね。

「サル・シュくんが来なくて寂しくない? ル・マちゃん」

「……なんで……?」

 私の腕を抱いた腕はそのまま、自分のくちびるをぷにぷに押す、ル・マちゃん。それ、キスしたいんだよね?『前』はここでしてくれてたもんね。

「仲良さそうだから」

 本当にル・マちゃん、気にしてなかったのかもしれないけど。でも、やっぱり、サル・シュくんが好きなのは好きなんだよね……

 腰をゆっくり撫でてあげた。冷えてる冷えてる。温石当てても冷たいなぁ……ル・マちゃん、いつも私より体温高いのに。

「それ…………気持ちイい………………」

「そう? よかった…………もっとしてあげる」

「うにゃ」

 猫みたいに、口を閉じたまま口端むにっと上げた顔、かわいい。

 食器も下げられたら、何もすることがなくなったから、幾らでも撫でて上げられるけど……前は何してたっけ?

 あ、キラ・シの指笛! 誰か、吹いてる。

 そうだっ! 車李(しゃき)の侵入者だっ!

 前なら私が毎回呼ばれてたけど、今回は来ない。そこまで私がお城の中のこと説明しなかったから、ここで用を足すと思われてないんだ。ちょっと顔を出しておこう。

「どこ行くんだっ、ハル!」

「玄関っ! マキメイさんっ! ちょっと来てっ!」

 叫びながら階段降りたら、二階ぐらいでマキメイさん来てくれた。車李の援軍のことを確認する。今回も、ちゃんと来てるって。なら、この先の歴史は一緒だ。

 慌てて玄関に降りたら、リョウさんが兵士を担いできた。

「リョウさんっ、それ、シャキの戦士だよ!」

  

 

  

 

  

 

 

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